大阪・関西万博(2025年4月13日~10月13日 184日間)の運営費が、当初想定していた809億円から351億円増加し、1160億円となった。6日、東京都内で開かれた臨時理事会で正式に承認された。当初の約1.4倍となる。
運営費には会場での警備対策費や、シャトルバスによる輸送費、会場集客のための広報宣伝費が含まれる。さらに2022年に起きた韓国ソウル・梨泰院の雑踏事故や、安倍晋三元首相銃撃事件、岸田文雄首相襲撃事件を踏まえ、従来と比べてもハイレベルの警備体制が求められ、人件費と物価の上昇も影響した。
博覧会協会は昨年(2023年)春、こうした事態を踏まえて、内容を精査し、同年12月の理事会で増額案を提示していた。この運営費とは別に、政府は要人警護にかかる費用として約200億円を負担する見込み。
1160億円のうち8割強の969億円は入場料収入で賄い、残りの191億円は施設利用料などを充てる。
2度の増額で当初の約1.9倍、2350億円に膨らんだ会場建設費は、国、大阪府・大阪市、経済界で3等分して賄う。しかし、運営費はこれと異なり、赤字になった場合でも国や大阪府・市は補てんしないとしている。
こうしたことから、博覧会協会ではチェック機関として「運営費執行管理会議」を新設する。大阪・関西万博の予算をめぐっては、 度重なる増額で国民から反発の声があがっており、運営費の厳格なコスト管理を徹底するのが狙い。
具体的には、協会側が理事会で▼(前売)入場券の販売状況、▼支出金額とその内容、▼支出抑制策について説明し、理事らが議論を重ね検討する。協会に最高財務責任者(CFO)を置く。
さらに経済産業省が設置した「(万博予算執行)監視委員会」との連携も図る。
この日会見した石毛博行・日本国際博覧会協会事務総長は、「赤字が出ない運営に全力を尽くしたい」と述べるにとどまった。