劇作家で演出家の平田オリザ氏を学長候補者に、豊岡市で2021年4月の開校を目指す兵庫県の「国際観光芸術専門職大学(仮称)」は、このほど設置認可申請を文部科学省に提出、学舎の建設がスタートした。
兵庫県では、世界有数の国際演劇祭を目指して2019年から始まった「豊岡演劇祭」や、外国人観光客でにぎわう城崎温泉などと連携しながら、但馬に世界的な演劇都市を創造したい考え。
入学定員は1年次80人で、4年次までの計320人。「演劇と観光が学べる国内初の公立大学」を掲げ、観光と芸術文化を結び付け、地域を元気にできるプロフェショナルの育成を目指す。
専門職大学は、2017年の学校教育法改正で創設された高等教育機関。必要単位は四年制大学と同じだが、講義・演習と体験学習との実習科目が3分の1以上を占めることが要件となる。
同大学の場合、地域と連携した600時間以上の実習プログラムを計画。豊岡演劇際の国際化に向けて、イベントの企画に参画したり、劇場・ホールのプロデュースなどを経験する一方、城崎温泉など地域の観光産業の現場を経験する。年間を4期に区切り、実習と講義を交互に組み合わせながら体系的な学習に取り組む。
卒業後は、新たな地域資源の掘り起こしを交流人口の拡大につなげたり、各種芸術文化拠点の事業企画、運営にかかわることのできる人材を輩出したい考え。平田さんは「日本では文化と観光は所管する官庁が異なり、文化で地域を活性化させるという取り組みが遅れている。観光と芸術という名称が入った日本初の公立大学として豊岡から日本を変えていきたい」と話している。