どの時代も活躍してきた、おしゃれな人たちの定番アイテム「帽子」。時代ごとにさまざまな帽子が流行してきましたが、そのなかのひとつ「正ちゃん帽」をご存知でしょうか?
「正ちゃん帽」とは、1920年代に子どもたちの間で大流行し、その後、アイビールックファッションが社会現象となった1980年代に再びブームとなった帽子です。そんな正ちゃん帽について、帽子専門店を展開する株式会社栗原の担当者に話を聞きました。
―――正ちゃん帽はどんな帽子?
【担当者】 毛糸のポンポン付きニットキャップのことを指します。その歴史は古く、18世紀のフランス海軍が発祥とされています。当時、水兵が船倉の低い天井に頭をぶつけることが多かったことから、衝撃を和らげるために帽子にポンポンを付けたことが始まりといわれています。
―――なぜ正ちゃん帽と呼ばれるようになった?
【担当者】 1923(大正12)年創刊の『アサヒグラフ』(朝日新聞社)で連載されていた四コマ漫画「正ちゃんの冒険」の主人公・正ちゃんがポンポンのついた帽子を被っていたことから名づけられたといわれています。同作の影響から、1920年代後半には子どもたちを中心に大ヒットし、世間にも広く親しまれるようになりました。
―――その後、昭和にもブームが訪れた?
【担当者】 1980年代に、アメリカで生まれたファッション「アイビールック」が社会現象になるほどのブームになりました。そのブームを牽引したファッションメーカーのひとつが「BOAT HOUSE」です。当時、同ブランドを象徴するアイテムが、頭にピタッとする浅めのシルエットのニット帽「湘南帽」で、それにも小さなポンポンが付いていたんです。形が似ていたこともあり、「湘南帽」=「正ちゃん帽」と呼ばれることも多かったです。
―――どんな人たちの間でブームになった?
【担当者】 ファッションに敏感だった若者のなかでも、特にヨットやサーフィンなどのマリンスポーツをライフスタイルとする男性を中心にブームとなりました。