昭和の時代の“三種の神器”の内の一つといえば、今でも私たちの生活に欠かす事ができない「冷蔵庫」。近年はさまざまなタイプの冷蔵庫がありますが、ひと昔前は最上段に冷蔵室、中段には冷凍室があり、最下段に「野菜室」というものが多かったように思います。冷蔵・冷凍室はその位置が逆になっているパターンもありますが、野菜室は大半が最下段。一体なぜなのでしょうか? 疑問を解決するために『パナソニック株式会社』に詳しく聞きました。
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【冷蔵庫に野菜室が導入されたのはいつ?】
調査すると、各メーカーが野菜室付きの冷蔵庫を開発したのが1980年代だそう。80年代後半になると、野菜を保湿する「透湿フィルター」が採用され、しだいに定着していったようです。
「弊社では1981年に野菜室が独立した3ドアの製品を初めて発売しました。この製品は最上段が冷凍室、その下に冷蔵室があり、野菜室は最下段でした。それ以前の冷蔵庫というのは、冷凍室と冷蔵室の2部屋の構造で冷蔵室内に野菜専用ケースを採用していました」(パナソニック株式会社)
【野菜室が最下段に配置されるようになったのはなぜ?】
「使用頻度順に上から配置されるようになったのが大きな要因です。最もよく出し入れされる冷蔵室の配置を目線の高さに、その下に冷凍食品の増加によって使用頻度が高くなった冷凍室を配置する事が多くなっていきました」(パナソニック株式会社)
野菜室付き冷蔵庫が販売された当初は上から「冷凍室・冷蔵室・野菜室」が主流でしたが、1996年ごろに他社から野菜室を中段に位置した「冷蔵室・野菜室・冷凍室」タイプが登場。その後、冷凍食品が普及してきた2008年にパナソニックから「冷蔵室・冷凍室・野菜室」という並びのものが発売されました。それ以降はメーカーごとに構成比等の変化はあるものの、「真ん中に野菜室」「最下段に野菜室」の両方が存在しているそうです。
【野菜室と冷蔵室の違いとは?】
「冷蔵室の設定温度は約3~6度に対し、野菜室は約3~8度と少し高めにされています。これは野菜が持つ水分を逃がさず新鮮さを保つには“湿度管理”が重要となるため、それを制御するために部屋を分けているのです。冷気は乾燥性のため、野菜室を間接的に冷やす工夫を行い湿気が逃げにくい構造にしています。また、冷気の無駄をなくすためセンサーで野菜の収納量を検知し最適にコントロールすることで野菜を最適な湿度に保っているのです」(パナソニック株式会社)
今では冷蔵庫の使い方の多様化に合わせ各メーカーが対応しており、パナソニックでは最下段にある野菜室の“取り出しやすさ”を重視。100パーセント引き出せるドアの採用をはじめ、様々な工夫がされているそうです。
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昭和の時代から現在まで使われ続けているモノのは冷蔵庫だけではありません。他のものについても変化を調べてみるとおもしろい発見があるかもしれませんね。
※ラジオ関西『Clip』2024年2月20日放送回より
(取材・文=濱田象太朗)