北海道の登別と函館で5つのホテルを経営する女性社長が、事業継承の経緯、経営者として最初に取り組んだことなどをラジオ番組で明かしました。
トーホウリゾート株式会社(本社:北海道札幌市)の代表取締役・唐神昌子(からかみ・しょうこ)さん。トップに就任して16年になりますが、事業を引き継ぐまで、「私は子育て中のただの主婦でした」と明かします。
もともと、同社は唐神さんの父親が創業したものでしたが、その父親が病気で急逝。当初は金融機関関連の人物が社長になる予定だったそうですが、カリスマ性を兼ね備えた先代のもとで働いていた社員たちがそれを反対し、「『創業家の家族のなかから誰かを出してほしい』という話しになった」(唐神さん)。
2人姉妹の長女だったこと、妹がすでに東京に嫁いでいたこと、母の年齢の問題もあり、「消去法で1人しかいない……『えっ、私?』と、後ろを振り返りそうになりましたね。『誰かいないの?』みたいな」と、唐神さん。それでも、「誰かがやらなきゃダメですよね。当時の従業員の方々がパートさんを入れると1000人弱くらいいる中、その方々にも家族がいると思うと、もう腹をくくるしかないなという感じでした」と、素人同然のところから大手ホテルの2代目経営者に就いたそうです。
まさに青天の霹靂、突如としてトップに立った唐神さん。代表に就任してから、父の友人のあるアドバイスを早速、実践して、道を開いていきます。
「父のご友人のおじさま方に『顔が見える経営をしろ』と言われて、営業先すべてをまわって、皆さんのお顔を見ることから始めました。旅行代理店から海外の取引先様すべて、それこそラウンドオペレーターの方がいらっしゃるところまで。また、私は結婚しているので(父の)名字ではないのですが、そのおじさま方から『その名前(旧姓)は北海道では有名なので、とにかく旧姓で仕事をしろ。そうでないと、誰がやっているか分からない』と言われて。そのあたりから背筋がピッとなりました」(唐神さん)
唐神さんが代表になって16年。トーホウリゾートが運営する登別や函館の5つのホテルは、当地の魅力的な温泉がわき出る特色をいかして、ファミリー層はもちろん、女性客なども多く訪れるなど、順調に経営を続けています。昨今は数多くの外国人観光客でにぎわう北海道ですが、同社のホテルも普段の多いときは「日本の方が6割、インバウンドの方が4割」とのこと。ちなみに、最近の旧正月ではその割合が逆転していたそうです。
同社は、昨年、道内の東川町などと観光を通じた持続可能なまちづくり・地域づくりに係る包括連携協定を締結。その年の夏にオープンした温浴複合リゾート「キトウシの森きとろん」のレストラン部門の運営に関わるなど、新たな取り組みにも着手しています。今後は同町内に25室ほどのホテルづくりも予定しているそうです。
最近の温泉旅館のトレンドについて「サウナはすごく流行っている。ホテルによってはサウナを売りにしているところもたくさんある」と述べた、唐神さん。番組の最後には自然豊かな北海道の魅力発信への思いも述べていました。
※ラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』2024年3月4日放送回より