「地球沸騰化」。昨年の新語・流行語大賞でトップ10にも入ったこの言葉は、私たちが住む地球にとって重大な問題である。環境問題への配慮として、乗り物から排出されるCO2の削減は特に注目度が高く、解決すべき課題でもある。
そんな中、2023年12月に兵庫県尼崎市の企業が発表したのが、国内初となる新たな取り組みの成功だった。品質管理された“廃食用油”を船舶燃料として用いるもので、「SVO(ストレート・ベジタブル・オイル)」と呼ばれている。
発表したのは、使用済み食用油の回収・再生処理事業を展開する浜田化学株式会社(兵庫県尼崎市)。今取り組みは、同社が品質管理を担い、舶用エネルギーを供給している阪和興業株式会社(大阪市中央区)に燃料を納入。国土交通省で約1か月の海上実証実験を行った結果、燃焼性などの問題もなく運航に成功した。
現在、舶用燃料には重油(石油)が使用されているが、環境への配慮の観点から、一部に廃食用油由来の「BDF(バイオディーゼル燃料)」を【25%以外で混合したもの】が使えるのではないかと考えられている。既に世界各地で取り組みが進んでおり、ヨーロッパをはじめとした数か国では利用されつつあるという。
そうした時流の中で、より環境にやさしい舶用燃料の生成にチャレンジしたのが浜田化学だった。日本は島国で四方を海に囲まれるため、船やその燃料が欠かせない事情もある。そこで、重油の中の一部にBDFを混合するのではなく、廃食用油そのものの直接混合(24%)に着手したのだ。
同社開発部長の中野貴徳さんは「廃食用油からBDFを精製する際、若干のCO2を排出してしまう。しかし廃食用油をそのまま使用するSVOは、BDFへの精製工程もないため、低コストかつCO2削減にも貢献できる」と説明。「廃食用油を船舶用燃料にするのに必要な精製・品質レベルを知ることが求められる。今後も実験を続けて検証していきます」と笑顔で話した。
※ラジオ関西【地球にいいこと】2月5日放送回より