サッカー・国内女子プロリーグ「WEリーグ」のINAC神戸レオネッサは、16日に行われたホームゲーム、第10節のジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦で2-0と勝利し、首位をキープしました。この一戦の内容と入場者数について、なでしこジャパンOGがラジオ番組で語りました。
INAC神戸は0-0で迎えた56分、フリーキックからなでしこジャパンFW田中美南選手のヘディングシュートで先制に成功。71分には田中選手の右クロスが相手DFの足に当たって流れたところに、ファーサイドから飛び込んできたMF北川ひかる選手が頭で押し込み、貴重な追加点を記録しました。守備では、なでしこジャパンGK山下杏也加選手を中心に強固なディフェンスを展開し、2試合連続クリーンシートを達成しています。
この試合でDAZN中継の解説を務めた元なでしこジャパンDF川上直子氏は、「INAC神戸は後半から桑原(藍)選手を山本摩也選手に代えたことで、DF土光真代選手が前でプレーする時間が増えるなど、明らかに(雰囲気が)変わったし、得点のにおいがしだした」と、選手交代が功を奏したと分析。その山本選手のフリーキックから生まれた田中選手のヘッド弾については「ドンピシャ! 完璧だった」と評価していました。
そして、北川選手のゴールに関しては、「クロスが相手の足にあたって後ろに流れたなか、相手と競り合いながら飛び込んでいった。あの飛び込んだシーンは、皇后杯の決勝でもあったが、そのときはわずかにゴールならずも、今回はしっかり決めた」と、前回の反省を糧に結果を出したINAC神戸の13番のプレーを解説。さらに、「頭で飛び込むのはけっこう怖いから勇気がいるもの。(決めたのは)調子のよさを感じさせる。やっていてすごくいきいきとプレーしているし、プレーの姿に自信を感じさせられる。代表にも選ばれて結果を残しているので、それが自信にあふれている」と、川上氏は語っていました。
川上氏のインタビューに応じた北川選手も「試合前から毎回、自分らしく自信を持ってやっていこうと思って(試合に)臨んでいる。今日も自分らしくドリブルなど攻撃的にやれて、得点にもつながったので、これからもそういうプレーを出していきたい」と述べています。
一方、川上氏は自らの要望で、クリーンシートでの連勝の立役者・GK山下選手に試合後、中継のフラッシュインタビューを実施。なでしこジャパンのパリ五輪アジア最終予選・北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)戦での好守、『山下の1ミリ』がクローズアップされたことに絡めて、これまでの厳しい鍛錬が実を結んでいることを直接称える一幕もありました。
リーグ戦でも鉄壁の守備を見せる山下選手ですが、インタビューの中では、「今日のヴィッセルとの同日開催で、スタジアムに行くときに、(スタジアムから)帰っていくヴィッセルのサポーターを見ると、少しさびしくなるが……」と、本音を吐露する場面も。
「今日1800人の方が来てくださったが、もう一度見たいと思わせるプレーなど、自分たちが表現しなければいけないところもたくさんあると思う」という山下選手。「自分たちはただ勝ち続けることしかできないが、首位の座は絶対に奪われたくない。そのためにみんな準備をしている。今日のひかるの2点目は、皇后杯決勝のヘディングを外してしまったり、前の試合も同じような局面もあったなか、今週の練習でクロスからのシュートを練習していて、それが得点になってよかった。みんなが勝つために、その(勝利やゴールの)一瞬のために努力して、いま、首位にいる。これを続けていくことが大事かなと思う」と、なでしこが誇る守護神は前を向いていました。
今回、INAC神戸は、サッカー・J1のヴィッセル神戸とのノエビアスタジアム神戸での共同ホームゲーム開催日でしたが、午後2時キックオフのヴィッセル戦の入場者数が2万1669人だったのに対して、午後7時キックオフのINAC神戸戦の入場者数はその約10分の1となる1814人にとどまりました。WEリーグ第9節・6試合のなかで、最多入場者数を記録したのは、サンフレッチェ広島レジーナ対マイナビ仙台レディース戦(エディオンピースウイング広島)の2352人。女子サッカー・WEリーグ全体としても、集客は大きな課題となっています。
山下選手の話を受けて、川上氏は、「聞いているほうもつらかったし、選手にそんなことを言わせてはいけない」とコメント。自らがパーソナリティーを務めるラジオ番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』(ラジオ関西)のなかで、同パーソナリティーの宮川陽香や寺田光とともに、今後の集客のための案を出し合いながら女子サッカーの魅力を語りつつ、「みんながひとり連れて来たら倍になる。天候も暖かくなるので、ぜひスタジアムへ!」と、女子サッカーの生観戦を呼びかけていました。
WEリーグは今週、前半戦の折り返しとなる第11節を3月20日(水・祝)に、後半戦スタートとなる第12節を3月23日(土)・24日(日)に開催。首位のINAC神戸は20日に6位ちふれASエルフェン埼玉とアウェイの熊谷スポーツ文化公園陸上競技場(埼玉県熊谷市)で、24日に7位AC長野パルセイロ・レディースとホームのノエビアスタジアム神戸で、それぞれ対戦します。
※ラジオ関西『カンピオーネ!レオネッサ!!』2024年3月18日放送回より