今や社会の多方面で用いられ、日進月歩で発達し続ける“AI”。兵庫県神戸市に本社を置くセキュリティ機器専門メーカーは、生成AIを搭載した放送アナウンス音源作成サービスを展開しています。その名も『YUTTE(ユッテ)』。2023年5月のリリース以降も機能に磨きをかけ続けているとのこと。同サービスのプロジェクトリーダーに、開発の経緯や実際の機能、サービスの有用性などについて聞きました。
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YUTTEを提供しているのは、音響機器、防犯・監視カメラなどのセキュリティ機器の専門メーカー「TOA(ティーオーエー)」(神戸市中央区)です。
同サービスは、パソコンに文章を入力することにより放送アナウンス音源を作成できる仕組みで、公共施設や商業施設、観光地、イベント会場、公共交通機関など、流す場所に応じたアナウンスを無料で作ることができます。アナウンスの声の性別や感情、抑揚のレベルを計26パターンから選択できるうえ、チャイムやBGMなどを加えたアレンジも可能。現在の登録者は2000以上とのことです。
プロジェクトリーダーの犬飼一之さんによると、開発のきっかけの一つはコロナ禍だったそう。当時、緊急事態宣言により店舗の営業時間が頻繁に変わるなか、時間変更や感染症対策を伝える手段として音声アナウンスがよく用いられていました。「基本的に、プロのナレーターにお願いするか自身で録音するしかなく、苦労されている方を多く目にしていました」と犬飼さんは振り返ります。
じつはコロナ禍前にも、自分の声で放送することが緊張などの心理的負担になっている、という意見はあったとのこと。そこで、「文字入力するだけで放送できるようになれば、多くのお客様の役に立てるのではないか」と思い、開発に至ったと犬飼さんは明かしました。
放送アナウンス作成作業の簡素化は、手間を省くことでの業務効率化に加え、多くの人が抱える精神的負担の軽減にもつながると言えます。昨年12月には、さらなる業務効率化のため、生成AIの搭載による新機能「おまかせ文章作成」が実装されました。
全文入力は不要で、キーワードを入力するだけで文章が自動生成されることから、時間短縮を実現することなりました。
犬飼さんは「まだまだご存じない方も多いと思うので、もし興味があれば『YUTTE』と検索してみてください」と呼び掛けた上で、今後について「ご要望の声に寄り添い、これからもより良いサービスを提供できるように頑張っていきたい」と意欲を見せました。
※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』2024年3月28日放送回より