日本の朝ごはんの“定番的組み合わせ”といえば「白米×味噌汁」というように、朝食には世界各国さまざまな定番があります。中でも今回注目したのは、チューリップや風車で知られる国・オランダ。こちらではパンに「チョコレートのふりかけ」をかけて食べるのがスタンダードなのだとか。一体どんな食べ物で、どれくらい国民に浸透しているのでしょうか? オランダに暮らし、旅行や移住に関する情報を発信する「Japan Holland Link(ジャパン オランダ リンク)」の大場さんに詳しく話を聞きました。
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「オランダでは、まずバターを塗ってから、ハーゲルスラッハをふりかけるのが一般的です。ほかにも、バターとジャム、またはバターとチーズにハーゲルスラッハを加えて食べる人がいるそうです」(大場さん)
大場さんからさらっと受けた説明の中に、ふとギモンを抱いた筆者……。“ハーゲルスラッハ”とは何ぞや?
「チョコレートのことです。オランダではhagelslag(ハーゲルスラッハ)といい、スーパーには必ず並んでいるアイテムです。ハーゲルスラッハという商品名自体は、ある会社が商標登録をしているものの、他の会社からもハーゲルスラッハという名前で販売されているため、オランダでは『ふりかけ用チョコレート=ハーゲルスラッハ』で定着しています」(大場さん)
ハーゲルスラッハは世代を問わず広く浸透し、特に子どもが朝食や学校のランチに持っていくことが多いとのこと。さまざまな会社から販売されているため、オーソドックスなチョコレートはもちろん、ホワイトチョコ・フルーツ・バニラなど多彩なフレーバーが存在します。お気に入りのハーゲルスラッハに、好みのバターやチーズなどを組み合わせることで“自分流の楽しみ方”ができるのです。ちなみにハーゲルは「あられ」「ひょう」、スラッハは「降る」「散布する」という意味で、直訳すると「あられ(ひょう)が舞い散る」や「ひょう(あられ)の嵐」という意味になるそうです。
「チョコレートの粒をパンに振りかける様子が、あられ(ひょう)が舞い散るように見えることから、もともと天候の状態を表す言葉であるハーゲルスラッハと名づけられました。これを聞くと、もはや天気ではなくチョコレートを思い浮かべるオランダ人も多いようです(笑)。食べる方のハーゲルスラッハのことを“ふりかけ”と伝える日本人通訳者もいます」(大場さん)
また、オランダではAnijs(アニス)という植物の種に砂糖をコーティングした「Muisjes(マウシェス)」も有名です。マウシェスは小さな粒状のお菓子で、バターを塗ったパンやラスクにトッピングします。目にも楽しいカラフルさで、子どもが生まれた祝いとしてもふるまわれる伝統食です。
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日本人からするとスイーツのように思える食材も、オランダでは朝食や伝統行事として取り入れられています。「オランダ人は“大の甘いもの好き”が多い印象」と大場さんが話すだけあり、イタリア生まれのチョコレートスプレッド「ヌテラ」やチョコレートドリンクの「ショコメル」などが日常的に食されているそうですよ。
(取材・文=つちだ四郎)
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