「播磨国風土記」に"日本酒発祥の地"と記されている庭田神社(兵庫県宍粟市一宮町)で12日、江戸時代後期から1977(昭和52)年まで製造され、いったん途絶えた幻の酒『三笑(さん しょう)』の蔵出し式が行われた。
『三笑』は、江戸時代の1830(天保元)年に宍粟市山崎町で「本家門前屋」が製造を始めた銘柄。三人の僧侶が渓流近くで話に夢中になり、意気投合して大いに笑ったという中国の故事「虎渓三笑」にちんで命名された。
酒蔵が風情を醸し出すこの界隈で『三笑』の復活を待つ声が上がり、地元の老松酒造と山陽盃酒造の2つの酒蔵が2018(平成30)年、 現代風にアレンジして復活させた。老松酒造は純米吟醸に、山陽盃酒造は 伝統の技法、生酛(きもと)造りを手掛けている。
■『三笑』は宍粟市だけで販売
山陽盃酒造の壺阪雄一専務は、「今年は米が硬かったため、醪(もろみ)が溶けにくかったぶん、透明感がありきれいでフレッシュなお酒に仕上がりました。宍粟ブランドの鮎の塩焼きと一緒に合わせてお楽しみいただけると、お酒のキレと川魚との相性がよく合います。”日本酒発祥の地”と言われる宍粟市の原料だけで醸した『三笑』は、宍粟市でしか販売していません。この機会に、ぜひ宍粟にお越しいただきたいです」と話した。
※しそう森林王国観光協会が2017年からスタートした市内特産品のイメージアップを狙った認証制度。(鹿肉の)ジビエや サーモン、三尺きゅうりなど、現在28品目がある。