塩野義製薬(本社・大阪市中央区)の2024年3月期連結決算は、売上高が前期比2%増の4350億円、営業利益が2.9%増の1533億円で、それぞれ2期連続で過去最高となった。同社が13日、発表した。
2022年秋に承認された新型コロナウイルス経口治療薬(飲み薬)『ゾコーバ錠』について、国が購入した1000億円分を前年度に計上したため売り上げは減少したが、新型インフルエンザ治療薬『ゾフルーザ』の売り上げなどが拡大したのが影響した。
この日、塩野義製薬の手代木功(てしろぎ・いさお)社長は会見で、「コロナ経口治療薬における『ゾコーバ錠』の世界シェアはより大きくなり、アメリカを中心とした医療現場で需要が高い」と述べた。こうしたことから、2025年度に海外での実用化を目指すとした。2024年度中にも欧米での承認取得を進めるとしている。
同社は世界規模の臨床試験(治験)で体内ウイルス量の減少に効果がみられ、後遺症の抑制も期待できると強調している。さらに日本での使用で安全性のデータを蓄積しているのも強みとしており、2023年1月、韓国での製造販売の承認を申請するなどしている。
さらにコロナ対応ワクチン『コブゴーズ』について、2022年に国産では初めて製造販売の承認を申請したが、有効性を示すデータの不足などが理由で継続審議となったため、海外での臨床データなどを追加で提出した。
従来株対応のワクチンが承認されれば、並行して開発を進めているオミクロン株対応のワクチンの追加申請を行うという。
手代木社長は「総合的に難しい課題」としているが、「来年(2025年)冬には、オミクロン株にも対応するワクチンを提供できるようにしたい」と述べた。