初夏に突入し、レジャーに出かけやすい気候のこの時期。車を運転する機会も多いのではないでしょうか。そこで、いま一度見直したいのが“運転ルール”です。飲酒運転やスピード超過などは分かりやすい違反といえますが、「この場合は違反になるのか?」と疑問に感じるものもあるかと思います。中でも筆者が疑問に感じているのが「夜間走行中の室内照明点灯」。はたして違反になるのか調べてみました。
兵庫県警察本部交通部交通指導課によると「室内照明灯を点灯して走行する行為について道路交通法で明文化された規定はない」とのこと。車両等の灯火については、道路交通法第52条で「車両等は夜間、〈略〉前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない」と定められています。「その他の灯火」とは、道路交通法施行令第18条に「自動車 車両の保安基準に関する規定により設けられる前照灯、〈略〉及び室内照明灯(法第二十七条の乗合自動車に限る)」とあり、室内照明灯を点けて走行が規定されているのは“乗合自動車”に限られているようです。
乗合自動車等とは、乗車定員11人以上の自動車で貨物自動車等及び特種用途自動車等以外のものをいい、バスなどもこれにあたります。普通自動車の場合は、県警が述べるように道路交通法で規定されてはいないものの、『交通の方法に関する教則』には「室内灯はバスのほかは走行中につけないようにしましょう」と記載があります。
なぜ室内灯を点けたままの走行を控えた方が良いのでしょうか? 交通事故を専門とした「法律事務所 弁護士法人えん」(大阪市)の吉村歩弁護士によると、一般に室内灯を点灯させたまま車を走行させるのは危険であると認識されているそう。その理由は、人間の眼の明暗調整機能が関係しているといいます。
「明るく照らされた車内ではフロントガラスやサイドガラスに室内の様子が映り込み、車外の視認性を低下させるのです。これは道路交通法上の“安全運転義務違反”として、2点の違反点数と6000~12000円の反則金納付になる可能性があります」(吉村弁護士)
しかし、他の同じ違反点数がある場合と比べると道路交通に生じさせる危険の程度は軽微であるため、悪質なケースを除いて夜間の走行中に室内灯を点けていたとしても直ちに検挙・処分を受けるとは考え難いのだとか。とはいえ、交通事故発生のリスクを招く夜間の室内灯点灯走行は、可能な限りすべきではないと吉村弁護士は語りました。
兵庫県警はどのような見解なのか聞いてみると、「夜間にルームランプを点けたままの走行を見かけたら、他者への危険性なども鑑みて注意などの呼びかけや職務質問をさせてもらう場合もあります。また、基本的には室内灯を付けたまま走行することは安全上控えて欲しい」との事でした。
※ラジオ関西『Clip』2024年6月11日放送回より
(取材・文=濱田象太朗)