サッカー日本女子代表「なでしこジャパン」DF北川ひかる選手。育成年代から注目を集め、過去にも代表入りしていた左サイドの逸材は、移籍加入したINAC神戸レオネッサでブレイク。このたびパリ五輪メンバーに選ばれました。その要因となった2023-24シーズンのINAC神戸での活躍について、元なでしこジャパンがパーソナリティーを務めるラジオ番組で振り返りました。
2年続けてのラブコールを受けて、アルビレックス新潟レディースからINAC神戸にやってきた北川選手。その左足の精度の高さだけでなく、キュートなフェイスながらピッチでは気迫あふれるプレーを連発。球際の強さ、ディフェンスでの踏ん張り、果敢なヘディングシュートでのゴールなどでもファン・サポーターを魅了します。
右の守屋都弥選手とともに、豊富な運動量と高い攻撃力、推進力で、WEリーグ屈指の両サイドを形成。「レベルの高い選手が多いなか、自分がどれだけできるかもう一度示したい」という新体制発表会見での言葉を見事に体現した背番号13は、皇后杯優勝に大きく貢献しただけでなく、全22試合に出場し6得点をマークしたWEリーグではベストイレブンにも選ばれ、充実の1シーズンを送りました。
ラジオ番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』(ラジオ関西)6月24日放送回では、INAC神戸の2023-24シーズンのベストシーンについて、ファン・リスナーから寄せられたメッセージとともに回顧。7季ぶりに優勝した皇后杯を印象的だと語るおたよりが8割ほどを占めましたが、そのうちの1つが、準決勝のちふれASエルフェン埼玉戦、延長後半終了間際に北川選手が決めた決勝ゴールでした。
「INAC神戸のベストシーンは、皇后杯準決勝、北川選手の決勝進出を決めるゴール。正月、元日に故郷の石川県が震災にあい、気持ちの整理、メンタルコントロールが難しいなかで皇后杯を戦うことになった北川選手。被災した石川県民を勇気づけ、INAC神戸に皇后杯優勝をもたらす勢いを生み、長年遠ざかっていた代表(なでしこ)にも復活! 北川選手のゴールで皇后杯優勝を大きく手繰り寄せる準決勝のゴールこそ今シーズンのベストシーンだと思う」(リスナーA)
「京都での準決勝、ちふれとの2年連続での試合。震災後に戦った北川選手の活躍。常に左サイドをアップダウンし続け、疲労困憊、満身創痍のはずなのに、ゴール枠内に最後の力を振り絞って蹴りこんで生まれたクロス性の決勝ゴール。決まった瞬間ホッとして笑みを浮かべつつ万歳しながらピッチに倒れこみ、疲れ果てている北川選手の上に、チームメイトが満面の笑顔で駆け寄って重なり合うシーンも最高だった」(リスナーB)
石川県金沢市出身の北川選手は、1月1日、帰省先で能登半島地震に見舞われました。そのなかでも1週間後の8日にはWEリーグ戦で気丈にプレー。チームの勝利後には、インタビューで涙ながらに思いを語る様子もありました。そこから、皇后杯の準々決勝、準決勝、そして決勝と、ハードな戦いが続いたなかでも、「地元を元気づけたい」という思いとともに走り続け、カップウイナーの立役者となりました。
さらに、なでしこジャパンでは、五輪最終予選の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)戦に、けがの選手に代わって追加招集され、2年ぶりに代表復帰。勝てば五輪決定という第2戦で先発に抜擢されると、先制点のきっかけとなるFKのキッカーを務めたり、89分まで左サイドで縦横無尽に奮闘を続け、勝利に大きく貢献。そこからはメンバーに選ばれ続け、このたび五輪の舞台に立つことになりました。
その北川選手について、川上氏は、「北川選手は移籍してからずっとパフォーマンスがよかった。そのなかで起こってしまった故郷・石川での震災。この時期はインタビューで涙するシーンも多かったが、それでも、インタビューからは、移籍したこと、故郷を元気づけたい気持ちなど、いろんな覚悟がすごく伝わってきた。いいパフォーマンスを続けたことが五輪メンバーにつながったのでは。彼女にとってINACへの移籍は、いい決断であり、成功だったのではないかと思う」と、新天地で才能を開花させたレフティを評していました。