「ギネス世界記録」はイギリスのビール醸造所に由来? 誰でも挑戦できるってホント? 担当者に聞いた | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「ギネス世界記録」はイギリスのビール醸造所に由来? 誰でも挑戦できるってホント? 担当者に聞いた

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 どんな分野においても、得ることは決して容易でない称号・世界一。この“世界一”を記録し続けているのが『ギネス世界記録』です。テレビ番組などでその名前を聞くこともあり、認知度は高いと言えます。ですが「なぜ始まったのか」「どのように記録が認定されるのか」など、詳細まで知る人は多くないかもしれません。ギネスワールドレコーズ社の日本支社「ギネスワールドレコーズジャパン」の担当者に話を聞きました。

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 社名を聞いてピンとくる人もいるかもしれませんが、ギネスワールドレコーズはアイルランドのビール会社「ギネス醸造所」に起源があります。なぜビール醸造所が世界記録に関わるようになったのでしょうか?

「かつて、ギネス醸造所の最高経営責任者だったヒュー・ビーバー卿が仲間たちと狩猟をしていたとき『ヨーロッパで最も速く飛ぶ狩猟鳥はどれか?』という議論になったそうです。当時は手がかりとなる書籍はなく、ましてやインターネットなど存在すらしていません。確認しようにも答えを見つけることができませんでした。そこで『さまざまな一番を集めた書籍』を作り、街中のパブにおけば良いプロモーションになるのでは? という発想が生まれました」(ギネスワールドレコーズジャパン)

ギネス世界記録とビールで有名な「ギネス醸造所」には由縁があった(イメージ)

 さて、ビーバー卿はそのアイデアをもとに当時調査業務を行っていた双子のノリス・マクワーター氏とロス・マクワーター氏にリサーチを依頼します。そして現在のギネス世界記録の原型となる会社をロンドンに設立。昼夜を問わずリサーチや執筆作業がおこなわれ、1955年にようやく完成したのが『ギネス世界記録』と名付けられた同書だったのです。

 第1冊目は「宇宙」「自然界」「人間による偉業」「スポーツ」などの12部で構成され、クリスマスの時期にはイギリスでベストセラーを記録したのだとか。このとき、唯一1ページ丸々写真を使って紹介されたのが「世界で最も高い山」と認定されたエベレストでした。

1955年に発行されたギネス世界記録に記載され、大きく扱われていたのは世界一高い山「エベレスト」だという(イメージ)

 ギネス世界記録といえば、「世界で初めて月面を歩いた人」や「世界一高い高層ビル」など歴史に残る偉業から、「1分間でどれだけ鉛筆を立てることができるか」や「30秒間でどれだけ顔に付箋を貼ることができるか」などユニークな記録まで、とにかくジャンルを問わずさまざまな挑戦が記録されています。実際にギネス世界記録にチャレンジする場合、どのように申し込めばいいのでしょうか?

「ギネス世界記録には、さまざまな認定方法があります。申請する場合、『既存の記録』『新規の記録』どちらに挑戦したいかで方法が変わります。既存記録なら申請後に『ガイドライン』と呼ばれるルールブックが送られてきますので、それに沿って挑戦し証拠物を用意してください。内容が認められれば記録として登録されます。新規記録の場合は、その挑戦がギネス世界記録の対象となりえるかを確認する必要があります。認められた場合、ガイドラインが送られ挑戦が可能となります」(ギネスワールドレコーズジャパン)

 自由度の高いギネス世界記録ですが、申請する際は一定の条件を満たす必要があります。つまり“なんでもアリ”ではないということ。「ギネス世界記録ではさまざまな挑戦を設け、それぞれが得意な分野に焦点をあてることで世界がより面白く・楽しく・ポジティブな場所になることを目指しています。記録の対象になるものは、『計測、証明、標準化、更新』の4つが可能であることが基本条件となっています」とギネスワールドレコーズジャパンは説明。ちなみにギネス世界記録の基本条件は以下です。

【計測 】客観的に計測することができるかどうか。「美しさ・優しさ・忠実さ」といった、主観的な内容の記録の申請は数値で計測できないため、受付はできない。
【証明】記録内容を数値化でき、その数値を証拠として証明することは可能か。
【標準化】他の人にも挑戦できる内容かどうか。世界中の誰でも、同じ計測方法で挑戦できなければならない。
【更新】他の誰かが、その記録を更新することは可能かどうか。全てのギネス世界記録は世界中の誰もが挑戦でき、更新できる可能性がなければならない。

 基本条件以外にも守るべき事項はほかにもあります。例えば「誰かに危害を加える」「倫理的視点から見て問題がある」といった記録は認めていません。「認められない記録の種類」も存在しており、どうしても主観的になってしまう詩・音楽鑑賞や、危険性のある断食・アルコール摂取に関する記録などは測定しない決まりとなっています。

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 条件はあるものの「世界中の人々が申請できることが大切である」という考えのもと、誰でも申請できるギネス世界記録。2023年には約5万7000件もの申請があったそうですよ。

(取材・文=つちだ四郎)

毎年発行される『ギネス世界記録』(提供=ワールドギネスレコーズ)

◆ギネスワールドレコーズ
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