あるとき、おやつの時間に出されたビスケット。素朴な味がおいしくて、ついポリポリ食べていましたら、なにやらビスケットの形がいろいろとあることに気づきました。袋を見てみると、「どうぶつビスケット」と書いてあります。
「そうか、この形は動物なんや!」と思いながら一つひとつ形を見てみたのですが、なんの動物なのかわからんのです。
片面にはヨーチ加工(カラフルな砂糖でコーティング)がされていて、もう片面には何かをかたどったような模様がうっすらと見えるんですけど、なんかようわからん……。
なかには「これはどうやろ? 猿ちゃうかあ?」と思うものもあったりしますが、「う〜ん、これは犬かな? いやあ、全然ちがう生き物に見えるしなあ」という感じで、わかるようでわからへん、というか大半がようわからんのです(笑)。
モヤモヤとワクワクが心いっぱいにあふれましたんで、製造メーカーである志村菓生堂のスタッフさんに問い合わせてみたところ、「『どうぶつビスケット』ですね。私もパッと見ただけでは、なんの動物かわからないんです(笑)」と笑いつつ、その歴史と製造工程について説明してくださいました。
「どうぶつビスケット」に使われている、とても味のある斬新なタッチの型枠(銅板)は昭和のはじめごろにデザインされたもの。伝統を守るように、長い間大切に使われてきました。
ビスケットは型枠に生地を入れて作られるのですが、型枠にはかなり細かい線で描かれたデザインが施されているため、ビスケット側に模様を写すとどうしてもムラができたり、焼きあげることで生地がふくらんで線が薄くなってしまうことで、わかりにくくなっているんでしょうね。
それから、「『どうぶつビスケット』という商品名なのですが、じつは、動物以外のデザインもありまして……」とひと言。
「え〜っ、それってどういうこと(笑)!?」