神戸市は、同市に在住・通学している高校生を対象に、市立王子動物園など市内9施設への入場を無料にすることを発表した。高校生がいる世帯に向けた支援策の一環で、同市の久元喜造市長は「これまで手薄だった高校生世代への取り組みを充実させて、切れ目のない子育て支援を進めたい」としている。実施は9月1日(日)から。
同じく9月からスタートする、市内高校への通学定期代を市が全額補助する、全国初の取り組み(※来年1月からオンライン申請で受け付け)に合わせた措置。通学費や入場料を市が負担する背景には、大阪府が2024年度から段階的に進めている高校授業料の無償化によって、子育て世帯の流出や神戸市内の高校への志願者減などの懸念がある。
9月から無料となる施設は、王子動物園、青少年科学館(プラネタリウム含む)、神戸布引ハーブ園、相楽園、森林植物園、須磨離宮公園、太閤の湯殿館、六甲山牧場、神戸海洋博物館。これまでも無料だった市立博物館、神戸ファッション美術館、神戸ゆかりの美術館、市立小磯記念美術館、風見鶏の館と合わせ、高校生は計14の市立施設を入場料なしで利用できる。
久元市長は、大阪府の授業料無償化について、周辺の県から子育て世帯の流出が進むほか、神戸市や兵庫県の高校で志願者が減れば教育水準も低下、さらなる人口流出につながる「負のスパイラル」に陥る可能性があるなどの懸念を表明してきた。22日の会見で同市長は、兵庫県にも対応を促しているとし、「神戸市が基礎自治体としてここまでやるのだから、県としてもしっかりやってほしいと斎藤(元彦)知事にお願いした。『検討する』とのことだったので、今後を見守りたい」と述べた。