斎藤元彦・兵庫県知事のパワハラ疑惑などを告発した文書問題で、県議会の自民党、公明党、ひょうご県民連合(立憲民主系)、共産党の4会派と無所属の4議員は12日、斎藤知事に対する辞職要求を申し入れた。維新の会は辞職と出直し選挙を求める文書を9日に提出しており、兵庫県議会の全5会派と全86議員(無所属含む)が辞職を求める形となった。
申し入れ書は、最大会派である自民会派(37人)の北野実幹事長ら5人が12日午前、服部洋平副知事に手渡した。申し入れ書では「文書が『嘘八百』ではないことが明らかになったにもかかわらず、かたくなな姿勢を取り続けている」「『道義的責任が何か分からない』と看過できない発言」などと指摘。健全な県政と職員が安心して働ける職場を早く取り戻し、新たな知事のもとで来年度の予算編成をするために、斎藤知事の即時辞職が必要、と求めた。
提出後、北野幹事長は「(斎藤知事の)文書に『真実相当性がない』と変わらず言っている態度、道義的責任がないという発言。混乱している兵庫県政を正常化し、前に進める一歩との思いで、全会派全議員一致して辞職を求める」と述べ、「出処進退をしっかり判断して自ら明らかにするのが筋」との見解を示した。全ての議員による辞職要求という形は全国的にも異例であると記者から指摘されると、「(知事の判断によっては)当然ながら議会解散もあり得る。われわれも相当な覚悟でこの判断をしている」と答えた。
また19日に始まる9月県議会までに知事が辞職しなかった場合、議会で不信任決議案を提出する考えを示した。不信任案を可決するには、全議員の3分の2以上が出席し、4分の3以上の賛成が必要。可決されれば知事は10日以内に失職もしくは議会の解散を選ぶ。
斎藤知事は11日の定例会見で、辞職要求に加え、議会で不信任決議案が提出される方向である状況を受け、「(支援を受けてきた自民党議員らに対して)申し訳ない」「自分自身に対して悔しい」「私自身は決して完璧な人間ではない」などと涙ながらにコメント。一方で「これからも一生懸命県民の皆さんのためにやっていきたい」と続投の意思を示し、今後の対応については「法に基づいて判断する」と表明していた。