三宮の海側にある、2012年に開館したデザイン都市神戸の拠点施設「デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)」。ことし建物内に子どもたちだけが入れる街を作り、そこで職業体験ができるイベントが開催されます。パブリシティリーダーの大泉愛子さんに詳しい話を聞きました。
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KIITOは旧神戸生糸検査所を改修し、当時の歴史が感じられるモダンな建築スタイルが特徴。「デザインを人々の生活に採り入れ、より豊かに生きること」をコンセプトに掲げます。神戸だけでなく世界をつなぐデザインの拠点となることを目指し、子どもからシニアまであらゆる世代を対象に展覧会やイベントなどを開催しているのだとか。
同施設で2年に1度開催しているイベントがあります。「ちびっこうべ」といい、KIITO館内に子どもたちだけが入ることのできる架空の街“夢のまち”をオープン。社会の仕組みや仕事について楽しく学べる体験型の内容だと大泉さんは言います。「ちびっこ」と「神戸」を組みわせた名前の通り、参加対象は小学3年生~中学3年生。今年の開催日は、10月12日(土)~14日(月・祝日)の3日間です。
「夢のまちは実際のまちと同じ仕組みを取り入れており、入るためには市役所で市民登録が必要です。まちの中には飲食店のほか、警察署や図書館・新聞社などのブースが立ち並びます。ハローワークもあるので、体験したい仕事を選び働くことができます。実際に仕事をすると、まちの専用通貨『キート』がお給料として支払われ、食べ物や商品などを買うことができるのです」(大泉さん)
体験できる仕事は警察官・銀行員・新聞記者といった職業体験の定番のものだけでなく、図書館司書やアーティスト、そしてラジオDJなどなかなか体験できない職業もあるとのこと。大泉さんは「まちというものがどのように成り立っているのか、働くということはどういうことなのか、仕事にはどんな種類があるのかなどを実際に楽しみながら体験してほしい」と話します。
夢のまちで働いたお給料として貰える専用通貨・キートは、まちにある飲食店「ユメミセ」で使うことができます。巻き寿司やパスタのほか中国の葱油餅、コルドン・ブルー(カツレツ)、チェー(ベトナム風ぜんざい)、ポレンタとゼッポリーネ(揚げ物)などの10種類のメニューが楽しめます。
ちびっこうべについて、大泉さんは「知る・考える・つくる・伝える……というプロセスを通じてプロの知識や技術や考え方を学び、体感することで子どもの中にあるクリエイティブを育てていきます。まちには子どもしか入ることができません。そのため何をして過ごすのかは彼・彼女らの自由です。自由ということは『自主的に何かをする』『何をするのかを自分で考える』ということが必要。仕事をすることで普段は知ることのできない“仕事の中身”を学べたり、実際にプロの仕事を教えてもらえる貴重な体験ができます。自分自身に何ができるのか悩んで迷った分、そこでの体験が子どもたちの中に残ってくれたらと思います。“ちびっこうべ”を通して沢山の人やものごとと出会って欲しい」と話していました。
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実際の世の中の仕組みを学び、かつ、様々な仕事を体験する。そうした貴重な体験は、将来子どもたちの人生において何がしかのヒントになるかもしれません。
※ラジオ関西『Clip水曜日』2024年10月2日放送回より