食事のあと、気がつけば出来てしまっている「服のシミ」。どれだけ気をつけていても食べ物や飲み物をこぼしたり、汁気がハネてしまうことはしばしば。そんなとき、どこの家庭にもある“馴染み深い食器”を使うことで簡単・きれいにシミ抜きができるという情報を耳にした筆者。会員数55万人を超える宅配クリーニング「リネット」の品質責任者・近藤高史さんに詳しく聞きました。
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近藤さんが教えてくれたのは、なんとマグカップを使った、その名も「マグカップしみ抜き」。この方法でワインやコーヒーなどの飲み物や、しょうゆ・ケチャップといった調味料によるシミ汚れを落とすことができるのだとか。ちなみに「塩素系漂白剤」は衣類が脱色するリスクがあるので使用は控えるようにとのことでした。
【用意するもの】
マグカップ(なるべく口が大きいもの)・液体の家庭用酸素系漂白剤・食器用中性洗剤・小皿・歯ブラシ・90度以上の湯。
【事前工程】
必ず「色落ちチェック」をしてからシミ抜きをします。漂白剤や洗剤は洋服の色落ちを引き起こす可能性があるためです。漂白剤や洗剤をつけた綿棒を衣類の裏側の縫い目の部分など目立たないところにこすりつけ、綿棒に色が移らなければ色落ちの心配なし。つまり「シミ抜きをしても大丈夫」ということです。色が綿棒に移った場合は色落ちしてしまう可能性アリなので、クリーニング店に相談しましょう。
【手順に沿ってシミ抜きをする】
〈1〉90度くらいの湯をマグカップに対して6〜8割程入れる。湯を注ぐ際はやけどに十分気をつけましょう。
〈2〉マグカップの上にシミがついた部分を覆うように置きます。このとき、マグカップの中の湯に衣類がつかないようにしてください。蒸気に当てることで、汚れを浮かせることができます。
〈3〉小皿に注いだ食器用洗剤を歯ブラシに軽くつけ、シミの付いた部分に塗っていきます。シミが広がるのを防ぐため、外側から内側へ塗っていくことがポイントです。
〈4〉シミの外側に食器用洗剤をつけたら、次は中心までまんべんなく塗っていきます。このとき歯ブラシで強くこすってしまうとシミがにじむうえ、衣服が痛む原因にもなります。軽くなじませる程度にしましょう。
〈5〉マグカップの湯でシミ部分をじゃぶじゃぶと洗います。歯ブラシを使ってぐるぐる回して、汚れを落としましょう。
〈6〉食器用洗剤でシミが落ちなければ、酸素系漂白剤を準備(落ちていれば手順10へ)。酸素系漂白剤を使い、4・5と同様の手順を繰り返します。シミの外側から酸素系漂白剤を塗ってから、中心までまんべんなく塗り広げます。蒸気によって漂白剤が少しずつ泡立ってきます。これは蒸気の熱と漂白剤が反応して、汚れ落ち効果がアップしているサイン。
〈7〉漂白剤をなじませたら、シミに反応させるため約10秒待ちます。その後、マグカップの湯でシミ部分をしっかり洗いましょう。
〈8〉通常通りに洗濯します。すすぎをしていても漂白剤や食器洗い洗剤が衣類についたままだと、その部分に色が抜けや変色が発生する可能性があります。シミ抜きをしたら、なるべく早めに洗濯するようにしてください。
赤ワインなど色素を多く含む汚れや、時間が経ってしまった汚れなどは多少シミが残ってしまうことも。1度で落ちないときには、手順6を何度か繰り返すときれいになっていく……と近藤さん。ちなみに湯が冷めて湯気が出ていない場合は、沸かしたものに替える必要があるとのこと。また、湯自体が汚れていると衣類をすすぐ際に汚れがついてしまうため新しいものに替えてください。
「通常、クリーニング店ではシミの種類によって様々な薬品を使っています。今回ご紹介した『マグカップしみ抜き』は特殊な薬品を使うこともないので、安心してシミ抜きすることができます。ただし、デリケートな衣類や失敗したくない衣類はクリーニング店に相談を」(近藤さん)
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自宅で簡単にできる衣類のケア方法を覚えておけば、何かと役に立ちそうですね!
※ラジオ関西『Clip』2024年10月22日放送回より
◆取材協力
宅配クリーニング「リネット」