世界には「モルック」や「ヘディス」「カローリング」など、比較的新しく誕生し競技人口を増やしているスポーツがいくつか存在します。なかには「次期オリンピック競技に選ばれるのでは」と期待されるほど勢いがあるスポーツも。今回注目した「クアッドボール」もそのひとつ。 世界大会もおこなわれ、日本にもチームがあるスポーツですがどういったものなのでしょうか? 大阪を拠点に活動する社会人チーム「OSAKA OOKINIES(大阪オーキニーズ)」の代表・小林さんに話を聞きました。
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「クアッドボールは2005年にアメリカの大学で誕生し、日本には2017年頃に伝わりました。現在は日本でもチームが結成されており、『Japan Quadball Association (JQA)』という国内の団体が主催する全日本選手権や、各チームの交流試合も行われています」(小林さん)
クアッドボールを語るうえで、モデルとなった「クィディッチ」というスポーツについて知っておく必要があります。これは『ハリー・ポッター』に登場する架空のスポーツです。
【クィディッチのルール】
●1チームにつき7人、計14人で対戦
●「クアッフル」「ブラッジャー(各チームに1個ずつ)」「スニッチ」という4つのボールを使ってプレイ
●プレイヤーは試合時間中にクアッフルを相手チームのゴールに入れて得点を獲得。試合終了時に得点が高かった方が勝ち。ブラッジャーで相手チームの妨害ができる。また、スニッチをキャッチすれば150点という高得点が獲得できる。
●ポジションはクアッフルを奪い合う「チェイサー」、ゴールにクアッフルを入れられるのを防ぐ「キーパー」、ブラッジャーを追い払ったり、相手チームにブラッジャーをぶつける「ビーター」、スニッチをキャッチする「シーカー」の4つ
魔法をテーマにした作品のため「プレイヤーは空飛ぶほうきに乗ってプレイし足がついてはいけない」「スニッチが魔法の力で暴れ回る」といった要素が詰まっており、現実世界で再現するのはなかなか難しそう……。
そこで、クアッドボールは地上でプレイするスポーツとしてアレンジされているそうです。
【クアッドボールのルール】
●コート上の選手は、常にほうきを股に挟んだ状態でプレイする
●チェイサーがクアッフルをゴールに入れることで得点する
●ビーターがブラッジャーを扱って、相手チームの妨害をする
●シーカーがスニッチを追い、スニッチをキャッチすると高得点が入る
クィディッチならではの独特なルールは引き継ぎつつ、クアッフルをバレーボール、ブラッジャーをドッジボール、そしてスニッチを目印をつけた人間に置き換えることで地上用のスポーツとして楽しまれているのです。
クアッドボールは今や世界的にも広がりを見せており、国際連盟も発足。定期的に連盟が主催する世界大会やアジア大会も開催されており、さまざまな国がチームを組んで参加しています。日本国内でのプレイヤーは約200人で、現在は東京に5チーム、関西に2チームが活動中です。
クィディッチをモデルにしたスポーツとなると、やはりプレイヤーも「ハリポタ好き」が多いのでしょうか?
「初期は作品ファンが多かったように思いますが、最近では純粋にスポーツとしての魅力に惹かれて参加する人々が増えていると感じますね。身体的な戦略性やチームワークが求められるスポーツなので、作品を見たことがない方も意外に多く、純粋にスポーツとして楽しんでいるプレイヤーも多く存在します」と小林さん。ちなみに、小林さん自身は大のハリポタファンだったことから興味を持ったそう。大阪オーキニーズでは、ハリポタ好きとスポーツとして興味をもったメンバーが半々くらいだとか。
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『ハリー・ポッター』を知っていても知らなくても楽しめるクアッドボール。国際連盟が主催するワールドカップは2年おきに開催され、大阪オーキニーズからも日本代表選手が選出されました。また、今年の10月25日・26日には日本の成田でアジア圏を対象とした大会「Asia Pacific Quidditchi Cup」がおこなわれます。この大会にも同チームが参戦するとのことで、日本でのさらなるクアッドボールの盛り上がりが期待できそうです。
(取材・文=つちだ四郎)