夏と冬には大三角、春にはダイヤモンド。では秋はというと、四辺形。天頂近くに4つの星が四角い形で並びます。いずれも2等星ですが、比較的見つけやすいとされます。ペガスス座の一部で「秋の四辺形」と呼ばれています。
ペガススは、翼のある天馬で、ギリシャ神話では勇者ペルセウスがまたがってアンドロメダ姫を救ったとされています。ペガススは頭を下にして逆さまになっていて、四辺形は胴体にあたります。右下の星は首の付け根にあたるマルカブ(馬の鞍という意味)。その上がシェアト(足の付け根)、左上がアルフェラッツ(馬のへそ)、左下がアルゲニブ(わき腹)という名前がつけられています。
この「秋の四辺形」は、他の秋の星座を探すときの目印にもなっていて、アルフェラッツは、隣のアンドロメダ座に接していて、アンドロメダ姫の頭を示しています。そこから東に2列に並んだ星がアンドロメダ姫の体を表しています。アルフェラッツは2つの星座に関係していますが、分類上は「アンドロメダ座」の星とされています。
アンドロメダ座には、M31=アンドロメダ大銀河があり、天の川銀河の「となり」にある銀河として知られています。となり、といってもその距離は240万光年。宇宙の広大さを感じさせられます。明るさは3~4等級で、空が暗い所では肉眼でもぼんやりと細長い形を捉えることができ、「肉眼で見える最も遠い」天体といわれます。双眼鏡や望遠鏡を使えばぼんやりと光る雲のような銀河を見つけることが可能です。
天頂から南の低い所に目を移していくと、ポツンと光る星があります。秋の空で唯一の1等星、「南のひとつ星」ともいわれるフォーマルハウトです。みなみのうお座の口にあたる部分で、魚の体にあたる部分は、西の方へ、暗い星がいびつな楕円形で連なります。この星座に2等星3等星はなく、暗いため見るのは難しそうです。
フォーマルハウトは、地球から比較的近い、約25光年離れたところにある恒星で、その周囲には、砕けた岩石や氷、塵などからなる2本の環があることが、以前から観測されていました。米航空宇宙局(NASA)のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した画像から新たな環が確認され、2023年5月に発表された論文に、3本の帯が星を取り囲んでいるのがわかる写真が掲載されました。
「そして今年は秋の四辺形とフォーマルハウトの間に、土星が見えます」と話すのは明石市立天文科学館の井上毅館長。土星は中旬まで西に移動していましたが、16日に「留」となり星空の中で止まったように見えます。この後は東へと移動の向きを変え、9日から12日には月もすぐ近くに見えます。
この他2024年11月は、日の入り直後の南西の空には金星が見え、月末に向かって徐々に高度を上げていきます。金星が沈んだ後の宵の南の空には土星、そして東の空には木星が昇ってきます。木星が高い位置にくる真夜中頃には、東の空に火星も姿を見せるようになります。
11月は3つの流星群が極大を迎えます。5日におうし座南流星群、12日におうし座北流星群が極大となります。11月上旬は月明かりに邪魔されることなく条件は良いのですが、見えるのは1時間に2個程度となりそうです。17日にはしし座流星群が極大となりますが、月の条件は悪く、観察できるのは1時間に3個程度となりそうです。
(協力:明石市立天文科学館・井上毅館長 参考:国立天文台HP、早水勉「星空大全」)