「人生100年時代」とも言われる高齢化社会。定年後のセカンドライフ・シニアライフに関する悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。今後の人生に向けた備えや、その一環としての“終活”についてラジオ番組で専門家に聞きました。
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シニアライフカウンセラーである脇田和子さん(シニアライフ相談サロン めーぷる神戸三宮店代表)のもとには、家事代行や財産管理、日常生活支援、施設選びなど幅広い相談が舞い込むと言います。
とりわけ最近多いのが、高齢者の一人暮らしを指す“おひとりさま”関連とのこと。脇田さんは「近くにお子さんやご兄弟、親戚がいらっしゃれば良いのですが」としつつ、“おひとりさま”には、入院時の付き添い、家の片づけ・リフォーム、家の相続、墓、遺言書などを含めた多方面の問題が存在すると話します。
それらは、人生の幕引きに向けた“終活”にも関わってきます。「多くの方が、終活はまだまだ先、まだ早いとおっしゃいますが、いつ何があるかわかりません」と、脇田さんは早期からの心がけを促します。
脇田さんが代表を務める施設では、そんな終活に対する実感を持ってもらおうと、高齢者に対してイベントという形での働きかけを試みているそうです。
例えば“生前葬”。「先日(今年8月)俳優の石田純一さんがされてマスコミを賑わせました」と脇田さんは紹介した上で、「通常、葬儀では(亡くなった)本人は(参列者に)御礼を言えませんが、生前葬なら言うことができます。最近多い『年賀状じまい』についても、実際に会って(これまでの感謝を)伝えられます」とメリットを語りました。
その上で、「生前葬を開きたいと思っても、何をどうしていいかわからない人も多いと思いますので、まず体験してほしい」と話し、一般参加可能な体験の場として、今月16日に脇田さん自身の生前葬を開くとのこと。趣旨に賛同する僧侶の監修のもと、実際の流れに沿って解説が行われるそう。“自分らしいお別れ”を計画し、家族に負担をかけないための準備について考えるきっかけ作りを目指します。
また、老後はお金も重要です。“老後2000万円問題”(穏やかな老後を暮らすための資金として2000万円の貯蓄が必要とする説)や昨今の物価上昇、年金問題などを背景に、同施設では不安のありかを明確にしようと「90歳までの生活をシミュレーション」(脇田さん)したり、50歳からのお金の遣い方・増やし方を提案するためのマネーセミナーを開くなどしています。
脇田さんは「“終活”とは家族間のコミュニケーション。子どもがいても相続などで揉めないよう、今のうちからしっかり話し合いをしてほしい」と呼びかけました。
※ラジオ関西『谷五郎の笑って暮らそう』2024年11月3日放送回より
◆取材協力
めーぷる 神戸三宮店