女子サッカーの「2024-25 SOMPO WEリーグ」で現在、首位に立っているINAC神戸レオネッサ。8試合を終えて6勝2分けと無敗ですが、10日に行われた第8節では、ちふれASエルフェン埼玉(EL埼玉)にアウェイで2-2と引き分け。リーグ戦の連勝は5でストップしました。この一戦について、元なでしこジャパン(日本女子代表)がラジオ番組で振り返りました。
「2024-25 WEリーグ クラシエカップ」ですでに2度対戦しており、早くも今シーズン3度目の顔合わせとなった両者。試合ではINAC神戸が31分にDF井手ひなた選手の2試合連続ゴールで先制し、1-0で前半を折り返しますが、後半に入ってすぐ同点に追い付かれると、80分(後半35分)には一時、EL埼玉に勝ち越し弾を献上。それでも、アディショナルタイムにフリーキックのこぼれ球を途中出場のINAC神戸FW高瀬愛実(※「高」=はしごだか)が絶妙なコースに流し込み、土壇場で振り出しに。結局、勝点1を分け合う結果になりました。
この試合について、元なでしこジャパンDFの川上直子氏は、「ちふれ(EL埼玉)がINACのことを研究していた」と、EL埼玉の戦い方に着目。「INACが、FWの大きい選手、カルロタ・スアレス選手のところにけっこうロングボールを的(ターゲット)として入れるが、そこで(スアレス選手が競り勝って)落としたとしても、『次のところは絶対自分たちが拾うぞ!』と(セカンドボールを回収していた)。ちふれの選手はみんなすごく足も動いていた」と、ホームチームを分析します。
また、「ほかのチームは『(前に攻め込むのが)ちょっと無理だな』と思ったら1回スピードダウンして、後ろを選択してみたり、様子をうかがってみたりするが、ちふれはボールを持ったら全部前に来る。その勢いはすごいなと思う」「数少ない決定機をけっこう決めてくる」と、EL埼玉のカウンターの精度の高さなども称えていました。
そんなEL埼玉でいま、現場の指揮をとるのは、川上氏となでしこジャパンやTASAKIペルーレFCでともにプレーした経験を持つ山本絵美コーチです。
監督の体調不良により指揮を代行している山本コーチについて、川上氏は「非常に人間的に真面目な子で、分析とかもすごく熱心にしているんじゃないかなと。チーム(EL埼玉)でプレーして、(2023年に)引退後もそのまま残っているので、(選手たちに)どうやって声をかけたらいいかとか、たぶんチームの中のこともよく知っていると思う」と元同僚を評していました。
その山本コーチ率いるチームに苦戦したINAC神戸。それでも、今回の引き分けについては、「負けなかったのが大きい。逆転負けして熊谷から帰ってくるのは相当つらいもの。欲をいえば勝点3が欲しいと選手は思うだろうが、追い付いたことを評価したい」と、川上氏は勝点1の価値を強調します。
なかでも、川上氏は高瀬選手の同点ゴールとなったシュートを絶賛。「ゴール前に、ちふれの選手が3人くらいいたが、隅っこに、しっかりコースに蹴れる高瀬選手は『どんだけ冷静やねん!』と。あれはそんなに簡単じゃない。もしシュートが正面に行けば、相手も最後の最後で何が何でも守り切りたい気持ちがあるから、なりふりかまわず守ってくるし、(ゴールを阻止するために)顔でも頭でも出してきたと思う。でも、全然さわれないようなところに、枠を外さず(決めた)。“必殺仕事人”、さすがです!」と、バースデーゴールでチームを救ったベテランFWへの賛辞を惜しみませんでした。