宝塚市が、「就職氷河期世代」に特化して行った正規職員の採用試験で、4人の採用を内定したことを受け、18日、同市の中川智子市長が会見を行った。
この採用試験は、来年(2020年)3月末時点で36~45歳の高卒以上、バブル経済崩壊後の、いわゆる「就職氷河期世代」が対象。9月にあった1次試験(筆記試験)には、全国34都道府県から1,635人が受験し、一時、競争率が550倍に迫る狭き門となった。
今月4日の最終面接では、20人から、これまでの経験や努力、宝塚市への想いを聞いた。中川市長は、当初の計画より1人多い4人を採用した理由について、「どうしても甲乙をつけがたかったため」とした。
内定を受けたのは、男性2人、女性2人の計4人。全員が40歳代で、宝塚市内、県内の他市町、近畿地方の他府県、中国地方の他県から、それぞれ1人ずつが選ばれた。最終学歴は、3人が大学卒、1人が大学院卒だということで、現在は、2人が無職、非正規職員と正規職員が1人ずつ。転職は多い人で7社、少ない人でも3社を経験している。
内定者には既に合格通知を発送しており、電話連絡の際には4人全員が入庁の意志を示した。配属先は未定だが、来年1月に宝塚市の正規職員として直接雇用される見込み。
会見のなかで、当初の予定通り今年度から最低3年間は、採用を続けることを明言した中川市長は、「就職氷河期世代がいかに深刻であるかを、改めて浮き彫りにしたと思っている。もっと氷河期世代支援を広げていかなければ焼け石に水。自治体の直接雇用はもちろん、企業にも、新卒至上主義からの脱却を強く望む」と、宝塚市の取り組みに続くよう期待を述べた。内定した4人に向けては、「気負うことなく、一緒に頑張っていこうね」とメッセージを送った。
「就職氷河期世代」を対象とした職員採用では、兵庫県内では宝塚市のほか、三田市や加西市などが、正規職員としての採用を決めている。