11月の兵庫県知事選挙で落選した前尼崎市長の稲村和美氏(52)の後援会が運営していた公式X(旧ツイッター)のアカウントが選挙期間中に2回凍結された問題で、同県警は20日、偽計業務妨害容疑での告訴状を受理した。また同期間中、SNSでのうその投稿により、選挙活動を妨害されたとする公職選挙法違反容疑の告発状についても受理した。県警は今後、両容疑に関する経緯などについて捜査を進めるとみられる。
告訴・告発を行ったのは後援会「ともにつくる兵庫みらいの会」。同日、後援会世話人の津久井進弁護士が会見を開き、県警の受理をあきらかにした。
津久井弁護士によると、選挙期間中の11月6日、後援会のX公式アカウントが突然凍結された。6日後、新たに開設した別のアカウントも運用から約1時間に凍結。複数の人物がXの管理者にうその通報を行った疑いがあるとして、後援会は同月、兵庫県警に告訴状を提出した。
公職選挙法違反の告発は、選挙期間中、不特定多数の者が稲村氏に関して、▽県庁建て替えに1千億円かける▽外国人参政権を推進している、など4つのデマを投稿・拡散させたとする内容。同法の虚偽事項公表罪と事実わい曲公表罪にあたるとしている。
津久井弁護士は「Xでの発信ができなかったことは、表現や選挙活動の自由という、人権に対する直接的な侵害」と指摘。その上で、「私たちは選挙結果そのものに疑義を唱えるつもりはない。対象者に対する処罰感情で告訴告発したのでもない。これからの選挙が公正で自由なものになるよう一石を投じたい。今後は情報提供を中心に県警に協力しながら、捜査の行方を見守りたい」と話した。