斎藤元彦・兵庫県知事のパワーハラスメントなど7つの行為を告発した文書をめぐる問題で、「公益通報」としての調査結果を待たずに告発者を特定し、元県民局長の男性(2024年7月死亡)を懲戒処分とした兵庫県の対応のあり方が問われている。
この文書問題をめぐる兵庫県議会の調査特別委員会「百条委員会」は25日、公益通報制度や内部告発に詳しい結城大輔弁護士(東京第二弁護士会)を参考人として招いた。
結城弁護士は、「噂話や憶測をもとにした通報は、不正な目的とはいえない」と指摘した。
また、通報に「組織の評判を貶めようとするなど不正な目的」があれば公益通報に当たらない場合もあるが、「事実関係を把握して調査することが重要。不正な目的であるかどうかは慎重に判断しないといけない。仮に公益通報に当たらないと判断された場合でも、不利益な取り扱いがないよう配慮する必要がある」と指摘した。
斎藤知事は3月、定例会見で「(男性の告発文書は)嘘八百。核心部分で事実でない」と述べ、県は5月に男性を懲戒処分とした。
百条委の尋問でも一貫して「(男性の告発文書は)公益通報に該当しない。県の対応に問題はない」と主張しているが、結城弁護士は、「(公益通報に)当たらない部分があるからといって不利益な扱いをされると、怖くて誰も通報しなくなる」と述べた。
このほか、通報内容の調査結果が判明する前の通報者捜しや不利益な取り扱いは「許されない」と指摘した。「(懲戒処分のために)退職を保留したことなども不利益な取り扱いに当たる」とも述べた。
そのうえで「今回の県の対応は、告発者に不利益な扱いをしたということになるのではないか」と告発者の男性を懲戒処分とした県の対応に疑問を投げかけ、「(男性を)保護対象とすべきだった」と結論付けた。