写真を通して人それぞれの個性や命の尊さを伝え続ける写真家・生原良幸さんが、このほどラジオ番組に出演しました。写真を撮るようになったきっかけや、自身のこだわりについて語りました。
生原さんはこれまでに、100歳の人々や生まれたばかりの赤ちゃんを撮影するなど、さまざまな人物写真を中心とした作品を制作してきました。
写真を撮るようになったきっかけについて尋ねられた生原さんは、「高校時代に父親が買ってくれた小さなカメラを持って、東北に周遊旅行に行きました。それがきっかけです」と懐かしそうに語りました。
その後、当時「女性を撮らせたら日本で3本の指の入る」といわれていた写真家・児島寛治(こじまかんじ)さんに師事し、人物写真を中心に撮影するようになりました。
「現在、どのような写真を撮りたいのか?」という質問には、自身のこだわりを解説するとともにこのように回答しました。
「写真というのは、カメラを向けてなにかを感じないとシャッターを押せない。『綺麗だな』『色っぽいな』『元気だな』などの感情を感じてシャッターを押す。シャッターに代弁してもらう。人物の場合は、服や見た目など外観にこだわるのではなく、シワ1本まで映るような、その人の本質にどれだけ迫れるかだと思う」(生原さん)
カメラ技術の進歩について、「変わりすぎましたね……」と本音を漏らした生原さん。なんでも、スマートフォンよりもデジタルカメラで撮った写真のほうが写りが悪く、スマートフォンのほうがきれいだと感じることもあるのだそう。
しかし、生原さんは「その“きれい”は外観の話であって、写真の内面性の話ではないんです」と付け加えました。
スマートフォンでもきれいな写真が撮影できる、いまの時代。この手軽さについて、このように持論を展開しました。
「スマホはまったく悪くない。ただ、表現する内容が重要。カメラにしてもスマホにしても、あくまでも道具。道具を使いこなすのは人間ですよね。相手に対して、自分自身がどういう気持ちで向き合えているか。いかに相手のことを思って、十分に向き合えるか。これが写真には重要ですね」(生原さん)
パーソナリティーを務めるフリーアナウンサーの清水健と落語家の桂米舞(かつら・まいまい)は、「生原さんに『撮ってみたい』と思われる被写体にならないと」という言葉とともにトークを締めくくりました。
※ラジオ関西『Clip木曜日』2025年1月23日放送分より