医療・ケアの目標から自分が大切にすることまで…「もしものため」の“話し合い” 高齢者への注意点も | ラジトピ ラジオ関西トピックス

医療・ケアの目標から自分が大切にすることまで…「もしものため」の“話し合い” 高齢者への注意点も

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 もしものときのために、自身が望む医療やケアについて前もって考え、家族らや医療・ケアの担当者と繰り返し話し合い、共有する取り組み……いわゆる『人生会議』の必要性がいま、求められています。国(厚生労働省)や自治体からの呼びかけも行われていますが、では実際に『人生会議』で、何をどのように進めていけばいいのでしょうか。神戸市健康局地域医療課の出澤真さんに話を聞きました。

 厚生労働省が定めた「ACP(Advance Care Planning)」の愛称だという、『人生会議』。出澤さんによると、神戸市でも、普及啓発に取り組み、神戸市医師会が作成した「価値観シート」を活用するなどして、『人生会議』の重要性を説いています。

「大きなケガや病気になる可能性は、誰にでもあります。現在、健康な人にとって、心肺蘇生や生命維持治療などがどのようなものか想像するのは困難です。医療・ケアの目標などの具体的な内容ではなく、自らが大切にしていることについて考えることから『人生会議』をはじめることができます」と、出澤さん。

 先の「価値観シート」と呼ばれるものには、▼「自分の好きなものを食べたり飲んだりすること」、▼「会いたい人に会うこと」、▼「家族や友人の負担にならないこと」、▼「身の回りのことは自分でできること」などの項目を掲載。それらを参考に、もしも生きることができる時間が限られているとしたときに、「これができないまま生きていくのは考えられない」と思うのは何か、最も大切なことは何かを考えつつ、その理由を含めて話し合うことが大切だといいます。

「価値観シート」に記載されている項目

 特に高齢者には、自分の意思で決定することが困難になる前に『人生会議』を始めることが推奨されていますが、「気持ちが落ち込んでしまうためにやりたくない」という人に強制されないということも重要だそう。

「どのような状況で人生の最期を迎えるかは、誰にもわかりません。だからこそ、『どのように生きていきたいか』『生きることや自立した生活が難しくなってきたら、何を1番大切にしたいか』を話すことが大切。そして、家族や友人と一緒に、自分自身で意思を伝えられなくなったときに代弁してくれる人が誰なのかを考えましょう」と、出澤さん。

「ひとり暮らしの人は、離れて暮らす家族や親しい友人など、自身の気持ちを代弁してくれると思える人と『なにかあったときには代弁してね』と約束をし、価値観シートの余白やエンディングノートにその人の名前を書いておくのがおすすめです」「思いは状況により変わるものなので、年に1度くらいの頻度でノートを見直すことも大切です」と、アドバイスしていました。

「人生会議」話し合いの手順
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