平田オリザさん(劇作家・演出家)のラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に、稲美町芸術文化育成事業委員会の中谷範之さんと松村芳樹さんが出演。地域の歴史を題材にしたミュージカル『龍をあむ』の取り組みについて語った。
兵庫県東播磨地域(明石市、加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)には、県下で最大・最古のため池や、貴重な生き物が暮らすため池など、個性豊かなため池が数多く存在する。
これらの地域を“屋根のない博物館”として捉え、地域住民の参画と協働のもと、その貴重な水辺空間をより素晴らしい姿で次世代へ引き継いでいくとともに、それらを核とした魅力ある地域づくりをめざす「いなみ野ため池ミュージアム」プロジェクトが、2002(平成14)年に発足した。
昨年、同プロジェクトに参画し、稲美町において、稲美舞台芸術文化育成事業・ライオンズクラブ設立60周年記念事業として、同町の疏水の歴史を題材にしたミュージカル『龍をあむ』を発表。大いに話題を集めた。
同作は、深刻な水不足で苦しんでいた稲美の地で、農民が疏水工事に取り組み、豊かな未来を切り開いたという約120年にわたる史実をもとに描かれたオリジナル作品。稲美町在住・在勤のキャスト、スタッフ約40名が集まり、多くの協力者の力を得てミュージカルという形で地域の歴史を届けた。
最年少参加者は5歳、最年長者は76歳という、世代を超えた交流が実現。中谷さんによると、13年前から構想はあったという。
「地域の歴史を次世代に知ってもらうことで、地域に愛着を持ってもらいたいという思いがありました。脚本をつくるにあたり、(平田さんの主宰する)青年団をはじめ、さまざまな属性の方に相談したところ、みんなが楽しめるミュージカルという形に落ち着いた。結果、2日間で1500人以上の来場がありました」(中谷さん)
上演後の反響も大きく、同年11月には、後継団体である稲美町芸術文化育成事業委員会の発足記念として、稲美町ふるさと大使の講談師・旭堂南歩(きょくどう・なんぽ)氏とカホン奏者・那有多(なゆた)氏による講談を開催。同作品を新たな切り口で届ける機会となった。
今年3月22日には、ミュージカルの楽曲部分を抜粋した『龍をあむ音楽祭』を開催する。今回も40人近い町民がキャスト、スタッフとして参加する予定とのことで、松村さんは次のように意気込んだ。
「『龍をあむ』という作品が生まれ、舞台芸術を通して稲美町の地域資源を多くの人に知ってもらうことができました。この取り組みをきっかけに、稲美町で新たな劇団も誕生しています。3月22日の公演では、音楽祭という形でより多くの方に先人の奮闘を知ってもらいたい」(松村さん)
※ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』2025年1月9日、16日放送回より
●『龍をあむ音楽祭』
日時:2025年3月22日(土)13:30開演
場所:稲美町コスモホール
入場料:一般(前売り)1500円、当日2000円/子ども(前売り)800円、当日1000円
お問い合わせ:稲美町芸術文化育成事業委員会
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『平田オリザの舞台は但馬』
放送日時:毎週木曜日 13:00~13:25
放送局:ラジオ関西(AM 558khz / FM 91.1mhz)
パーソナリティー:平田オリザ、田名部真理
メール:oriza@jocr.jp
『ラジコ』では放送後1週間はタイムフリーでの聴取が可能。番組では、平田オリザさんが、ともにパーソナリティーを務める田名部真理さんと、これまでの自身の話しや演劇界への思い、移住拠点となっている兵庫・豊岡、但馬地域について、トークを進めていく。