まるでチョコレート? 凍結した豆を花粉サイズまで粉砕 「食べるコーヒー」開発秘話をメーカーに聞く | ラジトピ ラジオ関西トピックス

まるでチョコレート? 凍結した豆を花粉サイズまで粉砕 「食べるコーヒー」開発秘話をメーカーに聞く

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 百貨店や街中でチョコレートを目にする機会が増え、身近な人との間でチョコレートが行き交う甘党歓喜のイベント『バレンタインデー』。一方で、甘いものが苦手な人にとっては、心から楽しむことのできないイベントになってしまっているのではないでしょうか? そんな人でもバレンタインを楽しむことができると注目されているのが、チョコレートのような見た目の“食べるスタイルのコーヒー”『YOINED(ヨインド)』。開発者であるUCC上島珈琲株式会社の岩井和也さんに話を聞きました。

食べるスタイルのコーヒー『YOINED(ヨインド)』とは?

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 神戸に本社を置くUCC上島珈琲は、生産国に直営農園を持ち、コーヒー豆の栽培から原料調達、研究開発、焙煎加工、品質保証、販売、そして文化に至るまで、コーヒーに関するすべての事業を自社で手掛けている会社。

 そんな同社が、コーヒーの魅力のひとつである“香り”を20年以上追求した結果、2023年に誕生したのが、食べるスタイルのコーヒー『YOINED(ヨインド)』です。チョコレートのような見た目ですが、カカオ成分を一切使わず、コーヒー豆由来の素材を使用していることが特徴。「甘いものが苦手な方や、コーヒー好きな方へのバレンタインにもおすすめです」と岩井さんは話します。

カカオ成分を一切使わず、コーヒー豆由来の素材を使用

 カカオ豆からチョコレートを作る工程をヒントに作られた『YOINED(ヨインド)』ですが、開発する上で苦労したこともあったのだそう。開発者の一人である岩井さんによると、「最初は、コーヒー豆を極限まで細かくした後、お湯をかけてココアのようにしようと試してみたのですが、どうしてもザラついてしまいます。調べてみると、カカオよりコーヒー豆の方が硬くて、重いことが分かりました。どうすれば細かくできるか試行錯誤する中で、液体窒素を使ってマイナス196度に凍らせて砕くと、香りを保ちながら、直径約20マイクロメートル(花粉サイズ)の細かさにすることができました。さらに、乳脂肪や砂糖のバランスを整えることで、舌触りが滑らかになり、商品化することができました」と話します。

 コーヒー豆配合量40%・約23粒分のコーヒー豆が1枚に凝縮された『CRAZY BLACK』と、コーヒー豆配合量15%・カフェ・オレのような味わいの『MELLOW BROWN』の2種類が入った同商品ですが、飲むコーヒーでは考えられない楽しみ方があるとのこと。「YOINEDは、『お酒とのペアリング』を提案しています。例えば、『CRAZY BLACK』をラムとあわせると、コーヒーの苦みがラムの芳醇な風味を引き立てます。『MELLOW BROWN』は、日本酒をあわせると、マスカットやメロンのようなフルーティな余韻を感じることができます。これは、食べるスタイルのYOINEDだからこそ、生まれた楽しみ方です」(岩井さん)

『YOINED(ヨインド)』開発者の岩井和也さんとワタナベフラワー

 UCC上島珈琲株式会社の夢や目標について、岩井さんは「UCCグループは、パーパス(経営方針で『私たちの存在意義』として掲げた理念)である“より良い世界のために、コーヒーの力を解き放つ。”にもあるように、コーヒーの可能性にチャレンジすることで、より多くの方にコーヒーのおいしさ、楽しさといった魅力を知っていただきたいと思っています。また、コーヒーは、野菜や果物と同じ農作物ということで、コーヒー生産者や地球環境への配慮もとても大切です。これからもずっと、おいしいコーヒーを楽しめるように、サステナブルな取り組みを含めて、様々なことに挑戦していきますので、ぜひUCCグループの取り組みにご注目いただければと思います」と語りました。

(取材・文=迫田ヒロミ)

※ラジオ関西『Clip』2025年2月5日放送回より

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