鮮やかな色を取り戻した鉄人28号をみんなでお祝いしよう!――阪神・淡路大震災の復興のシンボル「鉄人28号モニュメント」(神戸市長田区)の塗り直し工事がこのほど終了。3月下旬、同区の若松公園で多彩なお祝いイベントが開かれる。イベントはいずれも入場無料で、関係者は「ぜひ来場いただき、輝く鉄人の下、春の訪れを笑顔で迎えてもらえたら」と話している。

JR新長田駅近くの若松公園内にある同モニュメントは、神戸市出身の漫画家・横山光輝さん(1934~2004年)の代表作「鉄人28号」にちなみ、阪神・淡路大震災からの復興のシンボルとして2009年に完成。高さ約15メートルの堂々たる体はJR車内からもよく見え、地域に人を呼び込む起爆剤となった。あわせて周辺には、同じく代表作の「三国志」の関連施設なども整備され、横山ファンや観光客らが集う場となっている。

塗り直しは8年ぶりで2回目。紫外線や潮風の影響で色あせや汚れが目立つようになり、近隣の住人からもお色直しを望む声が多数上がったことから、計画が決まった。
工事は2月3日からスタート。途中、何度か降った雪のために、塗り終えた部分に雪が付着、塗り直しを余儀なくされたこともあったという。だがそれ以外はおおむね作業は順調に進み、同月末、鉄人はビビッドなコバルトブルーの外見を取り戻した。




遠くから見ると気付きにくいが、実は2回の塗り直しで鉄人は“進化”した。
2009年の建設時、ボディーはつやのないマット仕様だった。だがその後、マット用の塗料は天候の影響による耐久性に欠け、色あせも早いことが分かり、初回の塗り直しでは艶ありのペイントに変更された。
さらに今回、鉄人の手首に付いた金色の球を前回施したはけ塗りでなく吹き付け塗装にしたことで、「全体的によりツヤツヤ、ピカピカに仕上がった」(モニュメントを管理するKOBE鉄人PROJECT事務局長の岡田誠司さん)という。

建設準備から数えてモニュメントとの関わりが20年になるという岡田さんは、「自分も同じだけ年齢を重ね、地域もさまざまな変容を遂げてきた。鉄人はその間ずっと力強いまなざしで見守ってくれていた。輝きを取り戻した鉄人を見上げて、『これからもよろしくお願いします』という気持ちになりました」と語る。