開幕前の「テストラン」が終了し、いよいよ本番を迎えつつある、大阪・関西万博。注目のパビリオンが数多くならぶなか、大阪で欠かせないテーマ=食文化に焦点を当てたパビリオンに参加する企業が、今回の万博への期待や、自社の取り組みなどを語った。
少しさかのぼり、1970年大阪万博の当時プロデューサーだった堺屋太一氏が、食を通じた楽しみを求めて交わる空間を「宴」と定義し、食博覧会のテーマになった。時は流れ、その思いを継承し、<食べる!笑う!生きる!それは「輝くいのち」そのものだ! 新・天下の台所>というコンセプトのもと、このたびの大阪・関西万博に登場するのが、大阪外食産業協会の【まいどおおきに!ORA外食パビリオン「宴」~UTAGE~】だ。

2階建てパビリオンの1階は、「食を提供する場所」に。万博開催期間中は様々な企業が入れ替わりで飲食ブースを出し、来場者が未来の食を楽しめる展示も。ブースは9か所に分かれており、4社は通期、残りの5か所ではその他の企業が入れ替わりで出店する。2階は「食の背景に触れる場所」として、各企業が企画する展示のほか、来場者が未来の食を実際につくる料理体験教室などができる、体験系のエリアになっている。
気になるのは、食文化にも大きくかかわるSDGs企画が同パビリオンでどう進められているか。同パビリオンのSDGs担当でもある浜田化学株式会社(兵庫県尼崎市)の東條佑さんに話を聞いた。
2階の「食の背景に触れる場所」の1つとして、SDGsコーナーがあり、外食産業だけでなく食に関わるSDGsに取り組む企業・団体がどのような取り組みをしているか、パネルや動画で展示するという。
「気候変動による気温上昇や異常気象によって材料の価格高騰だけでなく、お客様の食べ残しによる食品ロスや、仕入れ過ぎなどによる調理ロスがでるなど、飲食を経営する中での課題が多くあると思います。出展する企業のSDGsの取り組みをPRするだけでなく、見ていただいた方々も巻き込めるようにしていきたいです」(東條さん)
一方、浜田化学としては、開幕日の4月13日(日)~20日(日)の出展が決定。同社が取り扱う豆腐(大阪・曽根崎「翁豆腐」)と白いちご(淡路島・洲本の廃校を利用して栽培)を取り扱ったお店(店名「翁豆腐と白イチゴ」)を出す予定だが、その背景には自社のSDGsへの取り組みが大きく関わっている。

「白いちごでは低炭素農業を行っています。弊社は飲食店やコンビニから出る廃食油をリサイクルすることがメインの事業ですので、廃食油をリサイクルしてできたバイオ燃料を活用し、ビニールハウス内の温度を保つためのボイラーに使用する取り組みを進めております」と、東條さん。現在、燃料が高騰している中で、バイオ燃料を活用することで、価格も抑えられるとともに、同燃料が環境に配慮したものということもあり、同社はますます力を入れていきたいと述べている。
寄せ豆腐で水にさらしていないため、大豆のおいしさが楽しめるという、同社の翁豆腐。ただし、製造の工程で出てくる「おから」は、時として廃棄せざる得ないこともあるのが課題になっている。そのため、同社は今回のパビリオンを通じて、おからをアップサイクルし、「おからコロッケ」として販売を進めていくとのこと。「食物繊維とタンパク質が豊富に入り、ヘルシーでおいしいコロッケになった」と東條さんは胸を張る。
さらに、東條さんは「SDGsの概念を表す構造モデルに『SDGsウエディングケーキ』があり、『生物圏』『社会圏』『経済圏』に分けられています。その土台となるのは『生物圏』だと言われており、私たちが地球上で暮らす上で必要不可欠な要素である海や森などの“環境問題”や、“気候変動”についての目標をまず達成しなければなりません」と、同社を代表してコメント。
その壮大な思いへの第一歩とすべく、今回の大阪・関西万博に大きな期待を寄せていた。
※ラジオ関西『正木明の地球にいいこと』より





