神戸市立王子動物園が2000年に中国から借り受けたジャイアントパンダのメス「旦旦」(タンタン)の契約終了が決まり、故郷の中国・四川省に返還することがわかった。19日、王子動物園が発表した。
「旦旦(タンタン)」は中国との共同繁殖研究と、震災後の神戸を元気づけるために2000年に来日。ミレニアム・イヤーらしく「新しい世紀の幕開け」という意味で一般公募で名付けられ、王子動物園で唯一のパンダとして愛された。
上野動物園(東京都)など、同園以外にもパンダを飼育する国内施設はあるが、パンダが期間満了で中国へ返還されるのは、日本で初めて。なお同園での新しいパンダの受け入れについては決まっていない。
返還期限は7月15日だが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、返還先(四川省成都市)への直行便が現在運休していることなどを踏まえ、返還期間については今後も協議を重ねる。同園によると「返還期限を超過する可能性も十分にある」という。
同園の上山裕之園長は「旦旦のことを一番に考えた末での答え。20年間、神戸の子どもたちを勇気づけてくれたことに、心から感謝している。」とコメント。
王子動物園では6月1日から屋外施設のみの開園が決まっているが、人が密集する事態を避けるため、当面の間は事前申し込みによる入園制限を行う。入園人数は1日2000人で、神戸市在住の人と兵庫県在住の動物サポーターに限定する。
開園後は旦旦とのお別れの機会が設けられ、旦旦への寄せ書きや記念グッズの販売などの特別イベントが行われる予定。
久元喜造市長は「約20年もの間、多くの市民、特に子どもたちを励ましてくれました。旦旦を見た子どもたちが成長し、大人になってまた自分の子どもたちを(王子動物園に)連れてきたように、世代を超えて愛されていたように思います。神戸市民にとり非常に寂しいことですが、多くの仲間が暮らす生まれ故郷でこれからも元気に過ごしてほしいと思います」と話した。