“本物”のバレエを多くの人に届けたい。そんな思いを込めた公演「いばらきバレエへの誘い」が5月31日(土)と6月1日(日)、大阪府茨木市の茨木クリエイトセンターで開かれる。関西を代表するバレエカンパニーの1つ「地主薫バレエ団」(同府吹田市)が出演、弦楽四重奏団による生演奏と専門家の解説も付いて、料金は格安。主催する茨木市文化振興財団の担当者は「バレエを幅広い世代の人に気軽に見てもらいたい」とねらいを語る。

バレエの公演はおおむね東京に集中、京阪神などの都市部でもある程度開催されるが、地方では少なくなっている。また、オーケストラが演奏する全幕作品のチケットは高価で、一般的に「敷居が高い」というイメージもある。一方、バレエは子どもの習い事として根強い人気があり、国際コンクールや外国の一流バレエが団で活躍する日本人ダンサーも近年増加。バレエに関心がある人は一定数いるものの、公演を見たことがない人には情報が届きにくく、生のバレエに触れる機会が遠のいているのが現状だ。
そんな状況に一石を投じようと、同財団は2年前から「いばらきバレエへの誘い」の取り組みをスタート。「眠れる森の美女」(2023年)、「白鳥の湖」(2024年)に続き、今回は「ドン・キホーテ」を上演する。名場面をピックアップした3部仕立てで、バイオリンやチェロの弦楽四重奏団が舞台上で演奏。踊りの前後には舞踊ジャーナリストの菘(すずな)あつこさん=兵庫県芦屋市=が登場し、作品の見どころや背景について分かりやすく解説する。


演出・振付は地主薫さん。キャストはキトリ/奥村唯さん(31日)、葭岡未帆さん(1日)、バジル/松田大輝さん(31日)、宗近匠さん(1日)=いずれも地主薫バレエ団=。四重奏は藤本久実さん(バイオリン)、宮下和子さん(同)、俣野ゆみさん(ビオラ)、川内昌典さん(チェロ・編曲)が担う。
菘さんは初回から企画と制作にも携わっている。こだわったのは「実力のあるダンサー」の出演と「少ない楽器でも生演奏」という点。出演ダンサーのバレエ団を主宰する地主薫さんは名指導者として名高く、米サンフランシスコ・バレエ団の倉永美沙さんや新国立劇場バレエ団(東京都渋谷区)の奥村康祐さん、英国ロイヤル・バレエ団の金子扶生さんら世界の名門カンパニーでプリンシパルとして活躍するダンサーを育てた実績を持つ。今回の主要キャスト4人も舞台経験が豊富な踊り手ぞろいだ。菘さんは「今回のキャストからも世界に羽ばたくダンサーが現れるかもしれません」と話す。





