いつも何気なく食べている日常的なごちそう、「焼き鳥」。そのあれこれについて学ぶべく、神戸駅近くに店を構える「神戸地どり屋」の店主・南英樹さんに話を聞いた。
――お店の1日の流れを教えてください。
野菜などはお昼に買い出しに行って、そこから仕込みをしてオープンです。鶏肉とお酒は配達してもらっています。鶏肉はとにかく、鮮度にこだわっています。
――「串打ち3年、焼き一生」という言葉もありますが、修行はやはり大変ですか?
僕はほとんど独学ですね、「師匠」と呼べる人は居ないです。1年ほど、知り合いの焼き鳥店を一時的に手伝っていた期間がありますが、基本的には自分で試行錯誤を重ねながら研究しています。
――串打ちのコツなどはありますか?
説明するのは難しいですね(苦笑)。それぞれの肉がもつ特徴を瞬時に判断し、食べたときに「おいしい!」と感じてもらえるように刺しています。
――こだわりの強いお店だと「串から抜かないで!」という声があると聞きます。串から外してシェアするのは、やはりマナー違反なんでしょうか?
串を打つために毎日4時間とか5時間かけているのは事実です。ただ僕は、お客様が楽しんでいただけるならどちらでも構わないですよ。
――鶏肉を焼いている途中、ハサミでわずかな部分を切っている光景を見かけます。あれは何をしているのでしょうか。
あれは「焦げ」を削っているんです。ほんの小さな焦げでも苦みが出てしまうんですよ。苦みのない状態で提供するために、わずかな焦げも見逃しません。
――おいしい焼き鳥屋さんの見分け方はありますか?
そうですね……「つくね」ですかね。「つくね」は調理の幅があって、味が出しやすいんです。よって「つくね」がおいしい店は、いいお店だと思います。ちなみに当店では、「つくね」ではなく「みんち」とメニューに書いています。よく見るお団子のような形ではなく、へら状に伸ばして、パン粉をまぶして焼いているんですよ。
――「この部位はタレで、この部位は塩で食べた方が良い!」などはありますか?
いえ、特に通説はありませんよ。迷ったら「おまかせで」とオーダーしてください。当店では食べる人の好みや状況によって変えています。例えば、お酒好きな人なら塩の量をちょっと多めに出してあげるとか、お酒をあんまり飲まない人にはタレを多めに出してあげるとか。工夫をしています。
(以上、話し手=「神戸地どり屋」店主・南英樹さん)
神戸地どり屋
住所 兵庫県神戸市中央区相生町4丁目2-29
営業時間 18:00~24:00
定休日 日曜日、月曜日
※営業時間・定休日は変更となる場合あり