2025年3月17日、国立大学法人神戸大学と兵庫県姫路市が包括的な連携協定を結びました。地域の社会課題解決や人材育成、産業振興に加え、医療分野での連携強化を柱としたこの協定は、地域と大学が一体となった未来志向の取り組みとして注目されています。
☆☆☆☆
協定締結の背景について、神戸大学の藤澤正人学長は「大学の使命は教育や研究だけでなく、地域社会から評価される社会貢献にもある」と説明します。これまでも県内各自治体と連携してきた神戸大学ですが、姫路市とは特に医療やまちづくりの面で深い関係があり、今回の協定はそれらの活動を包括的に強化するものです。
特に注目されるのが、「播磨姫路地域臨床研究推進センター」の設立です。姫路市の医療機関である兵庫県立播磨姫路総合医療センター(通称・はり姫)と神戸大学が連携し、先端医療の導入と臨床研究を推進するセンターが新たに立ち上がりました。藤澤学長は「病院は単に診療を行う場所ではなく、人材育成や先端医療の研究拠点でもある。臨床研究を支える人材、特にクリニカルリサーチコーディネーターの育成が重要」と語ります。
はり姫は地域住民の命を守る役割を担う大型病院であり、地域医療の核として急速に成長しています。しかし先端医療の導入には専門的人材と資金が必要で、姫路市が支援する寄付講座の設立により神戸大学と共同で人材育成の体制を整備。これにより、患者に安心・安全な最先端医療を提供する基盤が強化されます。
パーソナリティの清元秀泰姫路市長は「こうした取り組みが東京や海外に行かずとも姫路市で最新の医療が受けられる環境作りとなり、地域の医療水準向上に貢献すると確信しています」とコメント。これに対して藤澤学長は「医療は日々進化しており、病院自体が診療・教育・研究の三位一体の拠点でなければ、若い医療人材が集まらない。だからこそ大学と地域が協力して魅力ある医療機関づくりに取り組んでいく」と力強く述べました。
☆☆☆☆
今回の連携協定は、世界遺産姫路城の文化的魅力だけでなく、科学技術や医療の分野でも地域の価値を高め、持続可能な地域発展を目指す一歩です。神戸大学と姫路市の強いパートナーシップは、地域住民の健康と未来を支える新たな基盤として期待されています。
※ラジオ関西「ヒメトピ558」2025年6月13日、20日放送分より
(取材・文 洲崎春花)



