夏といえば「祭りの季節」。日本国内では様々な祭りが行われ、それぞれが独自の文化を築いてきました。そんな中、全国各地の大学で「よさこい」が人気だという情報をつかんだ筆者。大学生から支持を集める理由を、神戸のよさこいイベント『Sailing KOBE 2025』実行委員長・小林尚廉さん、副実行委員長の大野勇利さんに聞きました。
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よさこいとは高知県高知市で誕生した日本独自の踊りで、手には鳴子(なるこ)という木製の打楽器を手に持ち躍動します。大野さんは「発祥は1954年(昭和29年)。戦後の不景気と社会の停滞ムードを吹き飛ばし、市民の元気と街のにぎわいを取り戻すために、高知商工会議所が中心となって『第1回よさこい祭り』が開催されました。当初は地元の商店街を中心とした踊りのパレードで、商業振興と地域活性化の意味合いが強いものでした」と説明。

その後、北海道の「YOSAKOIソーラン祭り」などをきっかけに、創作性の高い“現代型よさこい”という新しいスタイルで、全国各地で踊られるようになったそう。小林さんは「一言で説明するのが難しいほど、多様性に富んだ踊りの文化」と語ります。
「踊りのスタイルは地域の伝統を色濃く反映したものから、ポップで現代的な演出、和風の美しさを重視した表現まで多岐にわたります。共通しているのは各チームが工夫を凝らした衣装をまとい、オリジナルの楽曲に合わせて踊ること。伝統的には鳴子を持ち踊りますが、近年ではこれを使わずに幕やのぼりといった大道具を取り入れたり、タオルを持って踊るチームも」(小林さん)

よさこいサークルが全国の大学に広まった理由について、小林さんは次のように分析。
「演舞に使う衣装や楽曲・振り付け・構成・道具まで、すべてを学生たち自身で考えアイデアを出し合いながら一年かけて形にしていきます。その過程で生まれる一体感や達成感は、学生生活の中でも特別な体験となります。学生たちがゼロから演舞をつくり上げるという点に、よさこいならではの魅力を感じているのでは」(小林さん)
加えて、「学生時代に何かに本気で打ち込みたい」「青春を味わいたい」といった思いを持つ学生が多いことも要素の一つだと大野さん。
「最初は雰囲気の良さや友人の誘いで参加した人が、活動を通じてよさこいの魅力にはまり継続していくのはよくある話です。こうした『創造性・仲間とのつながり・達成感』がそろっていることが、全国の大学によさこいサークルが広がっている理由ではないかと思います」(大野さん)

最後に小林さんは「よさこいの良さは『なんでもあり』なところ。まさに自由さなんです。演舞の振付や楽曲の雰囲気・衣装・メイク・MC・旗の使い方に至るまで、すべてがチームごとに異なりそれぞれの想いや個性が表現されています。テーマの表現に決まりはなく、とことん自分たちらしさを追求する。よさこいは、見ても踊ってもおもしろい」と熱く語り、取材をしめくくりました。
(取材・文=迫田ヒロミ)
※ラジオ関西『Clip』2025年6月25日放送回より



