戦後に日本で創始された武道・少林寺拳法を広めたい一心で、兵庫県明石市に道院を立ち上げ、これまで3000人以上の弟子を育ててきた今井明雄さん(88)。少林寺拳法への思いや今後の目標を聞いた。
米寿を迎えてもなお、背筋がまっすぐに伸びた姿が印象的だ。今井さんは「歳をいうと『えっ、もっと若いと思った』と驚かれます」とはにかむ。18~19歳ごろから少林寺拳法を始めたが、そのきっかけは中学生時代の出来事にさかのぼる。
「中学生の頃、先輩に囲まれて暴行されたことがあったんです。悪いことはしていないのに、なぜこんな目に……と強く思った。そのとき『強くなりたい』と探し始めて、出会ったのが少林寺拳法でした」
今井さんは「技そのものよりも、『できなければ人の10倍、100倍努力すればいい』という考え方にひかれていった」と振り返る。長い間、地道に続けた中で、苦労もあったそうだが、「『みんな同じ人間で無限の可能性を持っている』『やればできる』といった少林寺拳法の開祖の考え方を受け止めて、それを理解しながら生きてきたのが、現在の私の姿だと思う」とコメント。2022年には、自らの半生と少林寺拳法への思いをつづった著書も出版した。
今井さんが道院長として指導に携わる少林寺明石道院では、先日、3人のきょうだいが揃って段位を取得。これがメディアに取り上げられるなど、話題になった。長年、地域で子どもたちの成長を支えてきた今井さんならではの成果とも言える。その高1・中2・小6のきょうだいの偉業に、「教える側からしても本当にうれしい」と笑みも。「彼らが大きくなって、身についた教えを少しでも社会のために貢献できる人になってくれれば」と期待を寄せた。
今井さんは今後も、少林寺拳法を通じ、青少年の育成に貢献していくという。
※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』より


