兵庫県明石市に本社を構える食品加工機械メーカー・アサヒ産業が、来年2026年に設立60周年を迎える。国内外で広がる導入実績の背景には、繊細な食材に対応する高度な技術力があるという。設立当時からの歩みと、これからの展望について、代表取締役社長・中谷安伸さんに話を聞いた。
アサヒ産業はもともと設計会社としてスタート。やがて、ニラなどの傷みやすい野菜の包装機器の開発を経て、食品加工機械の分野へと事業を広げた。その出発点となったのが、関西の夏の味覚・ハモを処理する機械だった。
ハモは小骨が多く、骨切りには職人の手作業が求められる。皮を傷つけず、骨と身だけを細かく断ち切る技術を、いかに機械で再現するかが大きな課題だった。中谷さんの父で、先代の社長は「『できない』という言葉を使わずに挑戦し続けた」ことで、製品化にこぎつけた。
その技術を応用し、同社は鶏肉や野菜、牛タン、ホルモンなど、さまざまな食材に対応する加工機械を開発。中でも、牛タンに斜めに切れ目を入れる処理は難易度が高いとされるが、ハモの骨切り技術の応用によって対応を可能にした。中谷さんによると、宮城県仙台市の空港内にある複数の牛タン店でも、同社の機械が使用されているという。

開発の中で最も苦労した食材のひとつが「生のホルモン」だった。粘り気のある独特の質感に対応するため、刃の厚みや回転速度の調整など細かな工夫を重ね、切断性能を向上させた。「試行錯誤をしてようやくうまく切れるようになった」と中谷さんは振り返る。
近年は国内に加え、東南アジアをはじめとする海外30か国以上でも製品が導入されており、同社の技術は世界にも広がりを見せている。
節目の60周年を前に、中谷さんは「より多くの国々で当社の機械を使ってもらい、人手不足の解消などに役立ちたい」と話していた。
※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』より
◆アサヒ産業
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