「幼い頃から人権に対する意識を」高校生などへの人権教室を続ける 人権擁護委員 中村薫さん | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「幼い頃から人権に対する意識を」高校生などへの人権教室を続ける 人権擁護委員 中村薫さん

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 兵庫県の西播磨地域で、高校生を対象にした人権教室を開催している人権擁護委員の中村薫さん。太子町にある太子高校1年生を対象に、デートDVをはじめSNSでの誹謗中傷など、高校生でも起こりうる人権侵害について、5年間講演を続けている。活動を続ける意義や思いを取材した。

太子高校での「人権教室」を続ける 人権擁護委員・中村薫さん(中央)
太子高校での「人権教室」を続ける 人権擁護委員・中村薫さん(中央)

 「人権擁護委員」とは、法務大臣から委嘱され、人権についての相談に乗ったり人権の考え方を広める活動をする民間の人たち。全国で1万4000人が活動している。中村さんは主に西播磨地域を中心に、高校やこども園などで人権について伝える活動していて、その功績が認められ、今年度の男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰を受賞。この表彰で人権擁護委員が受賞するのは2017(平成29)年以来8年ぶりだ。

 太子高校で1年生を対象に行う人権教室では「デートDVやSNSトラブル」など、高校生の身近な事例をテーマにして行われている。例えば、「明日は部活動があるから一緒に過ごせない」と恋人に伝えたら、強引に部活を休ませられて恋人との時間を優先されるケースも「デートDV」に当たる。男女の対等な関係を損なう事例は、身近にもあることを伝えている。

 2年前に中村さんの人権教室を受講した、生徒会執行役員の3年生2人に話を聞くと「人権とは“人の権利”ということくらいしかわかっていなかった」「自分も気をつけないといけないと思った。今でも、友達がデートに行くと聞くと“気をつけてね”と思う」と感想を語ってくれた。2年経った現在も、人権問題を自分ごととして捉えている様子がうかがえる。

 また、太子高校の古河浩和校長は、人権教室を開く意義について「生徒たちがこれから社会に出る時に必要な話が聞ける。本校では地域との交流、国際交流などの機会も多く、そんな場面でも役立つような人権感覚を学んでくれていると思う」という。 

「生徒たちが社会に出ていく時に必要な話が聞ける」人権教室を開く意義について話す 太子高校・古河浩和校長
「生徒たちが社会に出ていく時に必要な話が聞ける」人権教室を開く意義について話す 太子高校・古河浩和校長

 中村さんは「人権擁護委員の活動で大切にしているのは“人権感覚は幼い頃から身につける”という意識。被害者にも加害者にもならないために大事なこと。太子高校の生徒はしっかり話を聞いてくれて、手応えを感じている」と話した。

「人権感覚は幼い頃から身につけておくもの」と話す 人権擁護委員・中村薫さん
「人権感覚は幼い頃から身につけておくもの」と話す 人権擁護委員・中村薫さん

 法務局では、若者からの人権についての相談を、電話だけでなくLINEでも受け付けている。太子高校では、相談窓口をわかりやすく記したポップや名刺大の啓発カードを事務室前に設置。中村さんは「気軽に相談できることを知って、活用してほしい」と生徒に呼びかけた。

太子高校の生徒に人権問題の相談窓口を記したポップを渡す人権擁護委員・中村薫さん(中央)
太子高校の生徒に人権問題の相談窓口を記したポップを渡す人権擁護委員・中村薫さん(中央)
人権問題の相談窓口を記したカードとポップ 電話だけでなくLINEでも気軽に相談できる
人権問題の相談窓口を記したカードとポップ 電話だけでなくLINEでも気軽に相談できる

 ※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』2025年8月6日放送回より 

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