ヴィッセル神戸の吉田孝行監督がラジオ番組にて「Jリーグ連覇の舞台裏やチームマネジメントにおける哲学」「監督としての覚悟」について語りました。
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今季のヴィッセル神戸は、怪我人の続出や主力選手の移籍により厳しいシーズンの幕開けとなりました。吉田監督は「怪我人も多いですし、移籍した選手も主力でいうと3~4人ぐらい抜けた。やる前から『これは苦しいだろうな』と感じていました。始まってみるとやっぱり苦しかったですね」と振り返ります。それでもチームは徐々に立て直し、7月20日にはついに首位に浮上しました。

昨年はリーグ連覇と天皇杯優勝の二冠を達成。“強さの原動力”は「勝者のメンタリティが芽生えたこと」だと吉田監督。さらに、全選手に「共通の基準」を示すことでチームの一体感を高めてきたのだとか。
「要求している内容は全メンバー同じ。『この基準で試合に出れるよね』っていう指標は日々映像などを見せながら植え付けている。それをみんなが理解してくれて、優勝につながっているのかなと思います」(吉田監督)
今や「名将」と称される吉田監督ですが、3度目の監督就任時にはクラブが降格の危機に瀕していました。「正直、9割以上の確率で降格すると思っていました。でも、その確率を少しでも変えられるのは自分しかいないと。今思えば、引き受けて本当によかった」と、当時の覚悟と決断について明かしました。
吉田監督のチーム作りにおいてのモットーは「色々なことを言える関係」だとか。所属するスタッフ達はそれぞれに魅力的な個性を持ち、しっかりと役割を全うしてくれているのだそう。「チームのためにハードワークでき、向上心を持ったスタッフを大切にしたい。サッカーに対してさまざまな意見をくれる彼らの存在が、監督としての判断を支えてくれています」と感謝を口にしました。
番組パーソナリティであり、かつてヴィッセル神戸の常務取締役を務めた経験もある安本卓史さんは、吉田監督の「代表クラスのスター選手に対しても “平等に見る姿勢”を貫いている」ことに感動したといいます。これに対して吉田監督は、「全員フラットに見ることを意識した上で、経験のある選手に対するリスペクトを持つことも忘れないようにしている」と答えました。こうした姿勢がチーム内の信頼感と健全な競争意識を育んでいるようです。
日本代表監督の可能性について問われると、「まったく興味がない」ときっぱり。「代表のコーチには興味がありますが、『代表監督』のプレッシャーに耐えられるメンタルはまだないです」と率直に語りました。
現在、Jリーグ3連覇に挑むヴィッセル神戸。吉田監督はファン・サポーターに向けて、次のようにメッセージを送りました。「目の前の試合を勝つことだけに集中して、その積み重ねが最後、3連覇になればいいと思います。僕らは必死にやるんで、引き続き皆さんサポートしていただければなと思ってます」

※ラジオ関西『ハートフルサポーター』2025年7月28日、8月4日放送回より





