ドラマに映画にと、令和で活躍が目覚ましい俳優の本田響矢さん。今年4月期のドラマ『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ)では、ヒロインの夫で帝国海軍の中尉・江端瀧昌役を好演し、放送終了後にはSNSで「瀧昌さまロス」という声も数多く寄せられました。
そんな本田さんは、音楽劇『エノケン』で7年ぶりに舞台に出演します。『めおと日和』と同じく昭和を描いた作品であることから、「2025年は、半年以上、僕は昭和に生きているので、縁を感じる」とにこやかに語った26歳。大阪での取材会では、昭和という時代への印象や共演者への思いを明かしました。

昭和と今との違いとして挙げたのは、携帯電話やインターネットの有無です。
「今はSNSを通して感じるなど、なにかツールが1つ挟まるもの。便利なものではあるが、逆に、人と人との距離や考え方、感じ方をこじらせている瞬間が、きっと僕はあるなと思っている。そういったものがない時代、間に何も挟まずに、人と人とのつながりみたいなものを、より強く熱く感じていた時代なんじゃないかなと思う」と述べ、昭和の素敵なところについては「もっと素直だったのでは」とコメントしました。
「今とはまた全然違った気持ちや感性で日々を生きていた」人々を演じるうえで、「今の日常の当たり前が、当時は当たり前じゃなかったというのを、常に意識していたい」と語りました。
今回の『エノケン』では、戦前から戦後にかけての喜劇の持つパワーなどが音楽劇を通して描かれます。本田さんも本読みの段階から、当時の喜劇の偉大さを実感しているといいます。
「それこそ背景にずっと、なにか恐怖を常に感じながら日々生きていた時代で、そこで行われる喜劇というものは、自分たちがいま思っているお笑いだったり、日々の幸せな暮らしの中にあるエンターテインメントより、存在としては大きかったんじゃないかなと思っている」
舞台出演が決まってからは、「特に、喜劇王といわれる人物というのは、当時どれだけの人の気持ちを救ってきたのかなと、ずっと思っている」「普段の生活など、エノケンさんを支えてきた人たちも、大きな存在だったんだなと思う」と、人々に笑いや希望をもたらしたエノケンやその関係者へのリスペクトを語っています。

今回の舞台では、本田さんは市村正親さん演じる「日本の喜劇王」榎本健一の息子・榎本えい一(※「えい」=金へんに英)と、劇団員・田島太一の二役を担います。父役の市村さん、母役の松雪泰子さん(花島喜世子・榎本よしゑ役)をはじめ、経験豊富な共演者の存在も心強いといいます。
市村さんについては、『エノケン』のビジュアル撮影で最初に会った際に「わかりやすくオーラを感じた」と本田さん。制作発表会見では「本当に自分のことを息子のように接してくださった」と感激を語りました。ユーモアあふれる市村さんがボケてきたらツッコめるかという質問には、「ツッコめないですよ!」と笑わせつつ、「父と息子という関係でもあり、徐々に徐々に、ツッコめるくらい距離を縮めていければ」と話しました。
また松雪さんについては、本読みの後に「どう? 大丈夫?」と声をかけてもらったことをきっかけに、作品や役への思いを語り合ったそうです。「『あっ、そっかそっか』みたいに(真摯に)話を聞いてくださった」とそのやさしさに感激。「『あっ、もう、母!』と思いました!」という素朴な感想で、記者陣を沸かせました。
10月の東京を皮切りに、大阪、佐賀、愛知、川越(埼玉)での上演が予定されている音楽劇『エノケン』。大阪公演は11月1日(土)~9日(日)まで(※4日は休演日)ですが、好評につき追加公演として、当初予定のなかった5日(水)18時~の回が決まりました。追加公演を含めた大阪公演の概要は、キョードーインフォメーションの公式サイトに掲載されています。




