製品がどこの国で製造されたかを表す「メイドイン⚪︎⚪︎」という表記。服のタグなんかを見て「ああ、これは日本製か」と確認し、「どこそこで作られたもんが日本にきてるんやなあ」なんて感じたり、「やっぱりこの商品は⚪︎⚪︎製のやつが良いで」と目安にしたりしますよね。
じつは先日、かなり古い時代の製品の「レッテル」(製品のなかに入っている紙の札)を手にしたのですが、そこには「MADE IN OCCUPIED JAPAN」と書いてあったんです。
「MADE IN JAPAN」やったらわかるんですが、間に表記されている「オキュパイド」ってなに?

すぐに翻訳ツールで調べたところ、「占領された」を意味するとのこと……。ということはこれは、「占領された日本製」ということ?
このレッテルが見つかった工場がある兵庫県西脇市に位置する郷土資料館の学芸員さんに話を聞いてみました。
学芸員さんによると、「この表記は、第二次世界大戦で日本が敗戦して連合国軍の占領下にあったとき、日本が国家としての主権を失い連合国の管理下にあったことを示すもの」とのこと。
そのため当時は、日本から輸出される製品には「MADE IN OCCUPIED JAPAN」=「占領下の日本製」と記すことが、連合国最高司令官総司令部(GHQ)によって義務づけられていたそうなんです。

では、この表記は一体いつからいつまでの期間で使われていたのかというと、戦後、日本の民間貿易が再開された1947(昭和22)年2月から、サンフランシスコ講和条約が発行される1952(昭和27)年4月までの約5年間だけだったんです。

「MADE IN OCCUPIED JAPAN」の表記を見ていると、このような時代を経て今があるんだと感慨深い気持ちに。敗戦後の占領下で混沌として未来が見えづらい世の中でも、自分たちの誇りを胸に力強く勤しみ、作りあげたものを世界に向けて輸出してたんやと……。
日本のものづくりの希望の塊、みたいなものを感じてくるのです。
※ラジオ関西『バズろぅ!』2025年9月13日放送回より
(『バズろぅ!』ラジオパーソライター・わきたかし)






