1965年に公開されたミュージカル映画の傑作と言われる「サウンド・オブ・ミュージック」。今年=2025年は60周年にあたる。映画の撮影が行われたオーストリア・ザルツブルクの魅力を知ってもらおうというイベント「サウンド・オブ・ミュージックFOREVER!」が、25日、大阪・関西万博で開かれ、人形劇による「サウンド・オブ・ミュージック」が披露された。

人形劇を上演した「ザルツブルク・マリオネット劇場」は、1913年に設立された、世界でもっとも歴史のある文化施設のひとつで、有名なオペラ作品や演劇などを上演する。「サウンド・オブ・ミュージック」は2008年から上演されており、10人の人形使いが50にも及ぶ人形や小道具などを操作する。一人前の人形使いになるには4年から8年かかるという。人形はすべて手作りで、その技術と細部まで配慮された演出スタイルから2016年にはユネスコ無形文化遺産に登録された。今回は20年ぶりの日本公演で、「サウンド・オブ・ミュージック」は日本初披露となった。同劇場のスザンネ・ティーフェンバッハーCEOは「人形劇だが、小さな人間に見える人形劇です」と話す。「ドレミの歌」や「エーデルワイス」など、日本でも馴染みのある曲、まるで生きているかのように動き回る人形たち。同じ登場人物でも距離感をだすために大小の人形を使い分ける。そんな舞台に、観客は釘付けになった。


映画の舞台となったオーストリア・ザルツブルクとその近郊の湖水地方には、公開から60年が経った今でも当時の姿がそのまま残っている。例えば、郊外のレオポルツクロン宮殿は、トラップ大佐の邸宅としてマリアと子どもたちがボートから落ちるシーンが撮影された。現在はホテルとなっている。ザルツブルクにはトラップファミリーの足跡を辿ろうと年間35万人が訪れており、市内のロケ地をめぐるウオーキングツアーなども人気となっている。


2026年には「サウンド・オブ・ミュージック」の博物館が、ヘルブルン宮殿の敷地内にオープンする予定。館内には関連する資料の他、舞台を上演できるスペースも設ける。また18世紀から19世紀のトラップファミリーの実話にも焦点を当てた展示室も設け、彼らが遺したもの、彼らの子孫にもスポットを当てる。同館のマティアス・ベルクスマン学芸員は「今もなお愛されるサウンド・オブ・ミュージック。単なる懐かしいものとしてではなく、違った角度からアプローチする施設となる。世界中の人の好奇心を刺激して、国籍を超えた対話がここから生まれることを期待したい」と話す。

サウンド・オブ・ミュージック公開60周年を記念したイベントは各地で行われる予定。大阪・関西万博は間もなく閉幕を迎えるが、「閉幕後は、是非オーストリア・ザルツブルクを訪れ、その魅力を体感してほしい」とオーストリア大使館観光部の大西悠さんは話す。





