数年前に流行し、現在ではもはや当たり前になったDIY。棚や家具などを自作する際、あなたはどういった観点で木材を選んでいますか? 選定ポイントには、ヒノキやスギといった木の種類だけでなく「木目」にも注目する必要があるのだそう。木製パレット・木箱を製造する株式会社マツイ工業の代表取締役・松井美春さんに話を聞きました。
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木目には板目(いため)と柾目(まさめ)の2種類があるのだとか。「板目とは木の中心からずらして製材したときにできる波打つ曲線模様のこと。温かみのある自然な風合いが特徴です。一方、柾目は木の中心付近を製材した時にできる直線的で平行な木目模様のことを指します」と松井さんは説明。
【板目の特徴】
・丸太の端から端まで製材ができる(柾目より多くとれるので比較的安価)
・節が多いが、家具などに使用すると味になる
・乾燥により収縮しやすく、反りや狂いが発生しやすい

【柾目の特徴】
・板目に比べ、内部が緻密で膨張や収縮が少なく、反りや割れができにくい
・木の中心部しか柾目として製材できないので生産量が少ない(板目材より希少で高価)

この2種類はどのように使い分けられるのでしょうか? 松井さんからは次のような回答が得られました。
【板目】水分を吸収しづらい特徴を生かして、古くから酒樽や水桶などに使用されている。屋外のデッキや外壁材としても利用されるほか、自然な木目なので日常の家具などに使われていることが多い。
【柾目】デザイン性と耐久性を両立させたい箇所に適している。直線的で美しい見た目から、建具や床材・柱などに使われる。また、調湿効果もあるため水分の出入りを調節したい容器(曲げわっぱ・化粧箱など)にも活用される。

松井さんによると、木材には丸太を板にしたときに外側(樹皮に近い側)・内側(中心に近い側)によっても違いがあるといいます。
【外側】木表(きおもて)と呼ばれる。仕上がりが美しく、ささくれが起きにくい。そのため、美しさや安全性が求められる箇所に使われるが、乾燥した際に木表側が凹むように反るという性質がある。
【内側】木裏(きうら)と呼ばれる。年輪がはがれやすく経年変化によりささくれが生じやすい反面、乾燥すると木裏側が膨らみ凸面となる性質を持つ。水はけを良くしたいウッドデッキなどに使われることも。

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「木目を意識する」「木材の特性を活かす」ことを意識すると、よりDIY家具にオリジナリティをプラスできるかもしれませんね。
(取材・文=迫田ヒロミ)
※ラジオ関西『Clip』2025年10月3日放送回より




