9月から10月初めにかけて、神戸の中心街・三宮と元町に登場した巨大カプセルトイが注目を集めた。カプセルトイのカプセルは、10月4日に三宮中央通りで行われた「神戸オータムフェスティバル」で、両エリアの商店街が“地域の威信”をかけて競い合った大綱引き大会の人気投票にも活用され、訪れた人々の関心を呼んだ。

この仕掛けは、大手クレジットカード会社のアメリカン・エキスプレスが進める、地域のスモールビジネスを応援する取り組みの一環。地元商店街や老舗店が協力し、まち全体を巻き込む形で展開された。
参加店舗のひとつ、三宮中央通りの一角にある明治時代創業のアンティーク家具店「永田良介商店」6代目の永田泰資さんは、次のように話す。
「フェスティバルを盛り上げる中で、まちとどう絡めるかを意識しました。カプセルトイの仕掛けが、まちの人やお客さんに“何だろう”と気づきを与えたのが大きかった。町中がイベントに少しでも興味をもってくれたのは、大きな成果だと思います」(永田さん)
カプセルトイに挑戦するためのコインは参加店舗で配布され、三宮センター街や元町商店街に設置された巨大カプセルトイで使用できた。中には神戸限定チャームが入っていたほか、カプセルが綱引きの応援投票に使える仕組みもあり、楽しみながら地域のつながりを感じられる内容となった。

「普段の商店街の枠を超えて、三宮・元町をひとつの面で捉え、“おもしろいことを一緒にやろう”と取り組めたのは大きい。地域を盛り上げる新しい形が生まれたと思います」(永田さん)
“与えられたイベント”ではなく、“地域とともにつくる試み”として形になったことが、永田さんをはじめ地元の店主ら、関係者の印象に残ったという。


その手ごたえは、商店街の活性化をサポートする形になった企業側も実感しているよう。
アメリカン・エキスプレスの広報担当者は、「神戸の商店街は、歴史と文化が息づく街並みと個性豊かな店舗が魅力だと思います。今回の企画も、『こんなことできたら面白いね』という地域の皆さんとの会話から形になりました」と話す。
当日は三宮対元町の大綱引き大会などで、街全体が熱気に包まれる様子を間近で見守ったという。「神戸の地域の盛り上がりや、イベントの成功に向けて少しでもサポートできてうれしいです」と感想をコメントした。
同社では、こうした地域との協働を「まちにすでにある魅力を引き出すきっかけ作り」と位置づけ、「今後もまちの声に耳を傾けながら、地域で愛される、個性豊かなお店を応援する活動を続けていきたい」と、商店街や小規模店舗の活性化を後押しする姿勢を示している。
ちなみに、綱引きの応援投票ではそれぞれのエリアの特徴も見られた。元町では地元支持が多く集まる一方で、三宮では元町に票を入れる人も。地域ごとのキャラクターが垣間見える結果となった。
世間でも注目を集めた三宮と元町の綱引きバトル。今年の盛り上がりをきっかけに、来年以降の展開にも期待が高まる。
秋の神戸を彩った地域と企業による“まちぐるみの仕掛け”。次のにぎわいづくりへとつながりそうだ。





