「他の司法書士に比べると、“らしくない”行動をしてると思います。考え方も、恐らく全然違うと思います」。そう言って笑うのは「司法書士法人・行政書士 Hana法務事務所」の代表司法書士・渡邉幸孝さんです。司法書士・行政書士として16年以上にわたり多くの相談者と向き合ってきましたが、その経歴は「型破り」。高校中退・左官職人見習い・バブル崩壊・起業・ネット詐欺・訴訟……乱万丈な人生ですが、そこには一貫した「悔しさ」と「人を助けたい」という強い思いがあったといいます。

熊本県で生まれ育った渡邉さんが地元を飛び出したのは17歳のとき。高校を中退し、単身大阪へと向かいます。「大阪には何度か遊びに来ていて、『大阪っていいな』と思ったんです。親には『せめて高校くらいは出なさい』って言われて、一度は思いとどまったんですが、また遊びに行ったときにその気持ちが強くなってしまって。今思うとすごく失礼なんですけど、担任の先生や地元の先輩に『いくらくらいもらってるんですか?』みたいなことを聞いて回っているうちに、『もっと夢のある場所に行きたい』って思って飛び出しました」と振り返ります。
大阪では「給料がガンガン上がる」という言葉に惹かれ、左官業の見習いとして働き始めます。しかし、時代はバブル崩壊の真っ只中。思うように収入は得られず将来への不安が募っていきました。次に踏み込んだのはWeb業界。自らビジネスを立ち上げて独立しましたが、その矢先にネット取引で詐欺被害に遭います。「警察に被害届を出したら、『それはもう見つからないかもしれません。できることはやりますけど』っていう対応で。だから自分たちで調べて訴訟を起こして、お金も取り戻しました」と渡邉さん。
その後、再び警察署を訪れた際に「世の中には泣き寝入りせざるを得ない人が多い」という現実を知ったそう。同時に「困っている人を助けられる仕事をしたい」そう強く思うようになったのだとか。そこで一念発起し、猛勉強の末に司法書士・行政書士の資格を取得したのが30代のとき。以来、さまざまな悩みを抱える相談者に寄り添ってきました。
「借金返済なんて無理だろうと思われていた人が、やる気を出したことで逆に仕事の話が回ってきて借金を返せるようになったりする。専門家が勝手に想像して、判断しちゃいけないんです」(渡邉さん)
渡邉さんの、この「寄り添うスタイル」はどこから生まれたのでしょうか?
「もともと行政書士もやっていて、許認可を取るために企業に寄り添うことが多かったんです。司法書士もその目線のまま。クライアントが経営者から個人に変わっただけ」とのこと。そんな渡邉さんが何より大切にしているのは“わかりやすさ”だそう。「理解しないままだとあとで事故が起きたり、『思っていたのと違う』となりがち。なるべくわかりやすい言葉を使って説明することや、相手の反応を見ながら丁寧に伝えることを重視しています」。
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業務範囲が限られている司法書士という仕事。だからこそ、渡邉さんは他士業や地域の専門家とのネットワークを大切にしています。「わかりやすいサービスを心がけ、幅広く皆さんに知っていただけるように横のつながりもさらに広げていきたい」と今後の展望を語りました。
※ラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』2025年9月29日放送回より





