10月31日はハロウィン。日本でも大きな盛り上がりを見せていて、その市場たるや1000億円を超えるとまことしやかに囁かれています。さて、ハロウィンと言えばおなじみなのが「仮装」と「かぼちゃ」。なぜこれらがスタンダードとされているのか、日本ケルト協会事務局の山本啓湖さんに聞きました。

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【ハロウィンの起源】山本さんによると、ヨーロッパの先住民族であるケルト民族の伝統的な祭りが関係しているのだとか。ケルトには季節を節目とした祭りが4つあるといいます。
●サーウィン/11月1日に行われる。冬の始まり、新年を意味する。
●インボルク/2月1日に行われる。春の訪れを祝す。
●ベルティン祭/5月1日に行われる夏の祭り。
●ルナサ/8月1日に行われる秋の祭り。
「冬の祭りである『サーウィン』がハロウィンの起源です。行われるのは11月1日と言いますが、厳密には10月31日の日没からスタートします。というのも、ケルト民族の間では『日が落ちて暗くなったときから1日が始まる』とされており、そのためハロウィンは10月31日に行われるようになったのだそうです」(山本さん)
【ハロウィンの目的】先祖の霊や亡くなった人を家に招き入れもてなしつつ、静かに供養するのが本来の目的。
【仮装する理由】サーウィンは死者たちが家の戸口や玄関に現れるため、各家庭では食事を用意します。その際に仮装することで霊たちを表現したというのが始まり。現在のようにイベント化するきっかけとなったのは19世紀頃。アイルランドに移動したケルトの人々がアメリカに移民したことによりハロウィンとして広がり、時代とともに形を変えていったとされています。ちなみに、仮装した子供たちが街の家々のドアを叩き菓子をもらって回る風習は1950年代頃からのものなのだとか。

【カボチャが使われる理由】カボチャのお化けは「ジャック・オー・ランタン」といいます。「死して成仏できずにいた男性が、悪魔にもらった火種を携えてさまよっていた」というブリテン諸島の伝承をもとにして生まれたキャラクターです。しかし、そもそもカボチャではなく「カブ」だったと山本さんは述べます。なぜなら、伝承によると男性の霊が火種を灯したのは「くり抜いたカブ」だったからです。実際、かつてのアイルランドではカブを用いていたようですが、アメリカではカボチャの方が手に入れやすかったのです。そのため、カボチャを代用品としてくり抜きジャック・オー・ランタンに見立たてたものがいつしか根付き世界に広まったのだそう。

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今や日本でも一大イベントとなっているハロウィン。しかしながら、その本質は「単に開放的になって騒ぐ」というものではありませんでした。本来の姿は「死者に寄り添う厳かな祭事」であることが判明した取材でした。
(取材・文=堀田将生)



