神戸市兵庫区の特別養護老人ホーム「花みさき」を運営する社会福祉法人・神戸千ヶ峰会。その理事長であり、一級建築士でもある春井秀雄さんが、入居者の持ち家の空き家問題や施設改善に取り組んでいる。
同ホームの入居者の8~9割は自宅を所有しており、入所すると空き家になるケースも多い。空き家は劣化や管理の手間などが問題となるため、春井さんは当初、入居者の家を訪問し、「貸す・売る・壊す」といった選択肢を踏まえた相談に対応していた。現在は、市内に100件以上ある特別養護老人ホームと連携し、地域全体での空き家対策の広がりも模索しているという。
「花みさき」は、神戸市兵庫区の再開発で生まれた施設で、1999年に旧小学校跡地に建設。現在、同法人は隣接する「花みさきⅡ」と2棟を運営している。さらに新たな施設の建設も進んでおり、2025年12月に完成、来年4月の開設を予定。すでに入居者募集も始まっている。
新施設では、木質パネルを層ごとに直角に貼り合わせたCLT(Cross Laminated Timber)工法を採用。高い断熱性や冷暖房効率が特徴で、春井さんは「介護が必要な人が快適に過ごせる空間を作るために、この工法を選んだ」と説明する。鉄筋コンクリート造より費用はかかるが、「こうした材料を使った施設が増えれば、優しい街づくりにもつながる」と意欲を語った。
春井さんはこれまで、地下駅の階段番号や水上バスなど、人にわかりやすい導線づくりを手がけてきた建築家でもある。福祉分野でもその知見を生かし、入居者に配慮した施設づくりに取り組む姿勢は、今後の地域福祉のモデルとなりそうだ。
※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』より





