世界各地では、古くから「ランタン」を使った祭りがおこなわれており、ベトナムの港町・ホイアン市では「満月の夜にランタンを飾る」という祭りがあるそうです。「なぜ満月の夜に行うのか」「ランタンにはどういった意味が込められているのか」など、ホイアンと交流が深い富山県滑川市の「なめりかわベトナムランタンまつり実行委員会」事務局長・鍋谷さんに話を聞きました。

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鍋谷さんは「ベトナムで満月の夜にランタンを飾る習慣は『中秋節(トゥエット・チュン)』または『満月祭』と呼ばれる伝統行事に関連しています。この祭は旧暦の8月15日におこなわれ、家族やコミュニティごとに集まり月を鑑賞しながら祝います」と説明。中秋節とは満月の美しさを賞賛し、豊穣や家族の団結を祈る祭りのこと。この中秋節にランタンを上げることで月の美しさと調和を祝うとのこと。
ランタンを飾る習慣は、中国から伝わったものがベトナムにも根付いたと言われています。ランタンの灯りは悪霊を追い払う意味を持つほか、希望や幸運の象徴ともされているため、子どもたちが色とりどりのランタンを持ち歩き願い事を込めて灯すのだそう。

カラフルなランタンですが、それぞれの色には意味が込められているのだとか。「赤=幸運・繁栄」「黄/金=富・幸福」「青=平和・安定・健康」「白=純粋・清浄」「緑=成長・新しい始まり」などです。とはいえ、最近は伝統的な龍や可憐な花が描かれたり、中華風の柄などバリエーションも豊富になっているそうです。

「ランタン作りや飾り付けは、世代を超えて伝えられる文化的な行事です。特に子どもたちにとっては、創造性や交流の場となっています」と鍋谷さん。ちなみに滑川市の「なめりかわベトナムランタンまつり」は2010年から行われています。ホイアン市と同じく港町として栄え、歴史的な建築や街並みが保存されているという共通点があることから、友好都市として締結し交流を深めているという縁があってのことなのだとか。
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ランタンを飾るという風習は単に綺麗というだけではなく、人々のコミュニケーションの場にも繋がっていることがわかりました。
(取材・文=つちだ四郎)





